岸くん短篇 (ページ18)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:27,998 hit

The previous day 1 ページ18

＊＊＊＊＊＊

「優太の誕生日、会いに行くね」

彼女の転勤で遠距離恋愛な俺たち。

さすがに俺が行くのは難しいから

来てもらうことがほとんど。

俺の誕生日に彼女が久しぶりに来てくれることに。

でも

『あー、まじかぁ』

さっき届いた

「行けなくなった」

というLINE

せっかく来てくれるAに

快適に過ごして欲しいから

部屋着も洗濯してほこりもまとめ取りして

色々準備していた矢先に届いた連絡

ショックでまともに返事が返せない

もういつから会えてない？

今回はAの仕事だったけど

俺の仕事で来てもらったのに

会えたのは寝る前と出かける前の

ほんの一瞬だったときもある。

それでも

「優太の顔見れればいいよ私」

笑って言ってくれるAに救われた。

明日は俺の誕生日ってことで

仕事も落ち着いてるしオフにしてもらってて。

次の日は夕方から。

だからAと

長い時間いっしょにいれっかなと

期待してた。

『……あ、そっか』

俺が会いに行けばいいじゃん

今だって掃除してただけだし

思いついたら即行動

バイクを飛ばして駅に向かって

そのまま最終手前の新幹線に乗り込んだ。

この時間は混んでるけど

逆に疲れた人が多くて寝てるから

俺に気づく人はいない。

『俺に会いたくないとかじゃねぇよな』

嫌な予感が頭を過ぎる

でも絵文字もなにもなく

淡々と送ってくるLINEを見ると

会いに行けない悲しさとか

悔しさが伝わってきた