岸くん短篇 (ページ17)

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恋のきっかけ 5 ページ17

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「……」

『……』

無言の空間が続く。

「…きしくん」

『なんか飲むか？』

「うん、もらう」

寝てるAちゃんを起こして水を飲ませる。

「ありがと」

『横なる？』

「ううん、ちょっと起きておく」

『ん』

前髪をよけておでこに触れる。

「うわ、」

『………違い分かんねぇ』

「岸くん……」

近距離で目があって

『うわ、ごめん』

「……」

『……』

握っていた手に少し力を込めると

握り返してくれる。

『……Aちゃん』

「……そろそろ帰る？」

『ううん、まだ帰んねぇけど。あのさ……』

「どうしたの？」

『……これからもずっとAちゃんのこと支えたいから

彼氏になっていい？』

「え……」

『好きな人のこと幸せにしてぇし

支えになりたいってずっと考えてて。

何回か会ってるうちに

Aちゃんのこと幸せにしたいなって思ったから。

弱ってる時に言うのは卑怯なんだけどさ

でも他のやつに取られるのもやだし』

「岸くん……」

『返事あとからでい……「私も好き」

Aちゃんの顔を見ると

真剣な顔をしてこちらを見ていて。

「私のこと幸せにして」

『ぜってぇ幸せにするから

彼女になってくれる？』

頷く前に抱きしめると

「うん」

と胸の中で頷いてくれた。

そのまま前髪を上げておでこにキスをする。

『風邪早く治して、早くキスさせて』