◇ ページ41
「はい、完成」
「ありがとう、剛くん」
「あ、A」
「何？」
「メイクやってやる、あとネイルどうする？」
「え？いいの？」
「いいよ、可愛い従姉妹の為、人肌脱いであげましょう」
鏡の奥で、剛くんが笑った。剛くんの手が私の髪に触れる。
朝よりも随分明るくなって、短くなった私の髪。肩より少し上の辺りでふわりと髪が揺れる。
「やった、持つべき従兄弟は美容師の従兄弟だね」
「まー、また飯付き合って」
メイク道具を引っ張り出してきてゆるりと笑う美容師の剛くん。何も言わないでも、全てを察してくれる優しい剛くんが昔から好きだった。
「…ま？彼氏に怒られるか」
「彼氏じゃないし…、」
「んじゃ決戦ってとこ？」
俺に任せろよ、とシャドウを重ねていく。お前を見てフるなんて出来ないように仕上げてやるから、と自信満々に彼は言った。
どうかな、と笑いつつ、ゆっくりと変わっていく私。いつもとは違う雰囲気のメイクと、完全に変貌を遂げた髪型。
変われるかな、なんて単純な動機。
変わったら、強くなれるだろうか、なんて願掛けみたいなもの。新しくして、会いに行こう、と。
「…うん、完璧」
「ありがと、剛くん。感謝してるよ」
「頑張ってこいよ」
剛くんの仕上げてくれた私は、やっぱりプロの手にかかったからか、いつもとは全然違って。今日は会うつもりはないけれど、なんだか強くなれた気がしたから、嬉しい。
見送られて、家に戻る。ふわり、ふわりと、肩の上で揺れる髪が擽ったい、と笑いながら。
ガタン、とエレベーターが自室のある、3階へと辿り着く。ふう、と意味も無く息を吐き出せば、世界が、止まった。
「ど、して…」
どうして、会いたいと思っていた、君がそこに居るんだろう。
どうして、二宮はそんな顔をしているんだろう。
どうして、が、積もり積もって、グチャグチャになって、息を吐く。
ねぇ、今、何を思ってる？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1016人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かお(プロフ) - 沙瑛さん» はじめまして。ありがとうございます！んー、というか分からないように書いているみたいなところは少なからずあるので。また立ち上げの際はお越しくださいね。 (2015年12月4日 13時) (
レス) id: 677b661829 (このIDを非表示/違反報告)
沙瑛(プロフ) - はじめまして！完結おめでとうございます！全然ニノミヤの思ってることが分からない…ｗですが、今までの作品で一番泣きました！ｗ続編期待しております！！ (2015年12月4日 2時) (レス) id: 7d2f79366d (このIDを非表示/違反報告)
かお(プロフ) - みうさん» ありがとーう！予定を上回った振り回し具合になった(笑)私すぐ感覚なくしちゃうから多分本当にすぐ戻ってくると思う！(笑)愛、しっかり受け取りました！(笑) (2015年12月2日 22時) (レス) id: 137dbdb07b (このIDを非表示/違反報告)
かお(プロフ) - みるくるさん» お越し頂きありがとうございます！泣かないで！(笑)わーん、嬉しいです。答え合わせなのでね、赤ペンお持ちになって待っててください。笑 (2015年12月2日 22時) (レス) id: 137dbdb07b (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - 完結おめでとう！うん、続編待ってる。笑 ニノミヤを振り回せたから、満足だけど、やっぱニノミヤsideは欲しい！いつでもいいよ！待ってるぜ！･･･素敵なお話をありがとう！かおちゃんに、私からの愛を贈ります☆(返品は不可だよん) (2015年12月2日 3時) (レス) id: 575ad155ba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かお
| 作成日時：2015年11月18日 20時
