僕×はじまり ページ8
.
『ただいまー』
僕の声が虚しく部屋に響く。
この言葉に対する返事はしばらくもらっていない。
僕は生まれた時からお父さんはいなくて、お母さんが一人で僕を育ててくれた。でもお母さんは僕と生活をしていくために朝から夜までずっと仕事だ。たまに休みの日があるけど、その時以外は本当に顔も合わせないし会話もない。兄弟もいない僕は家ではほとんど一人だ。
いや････学校でも、の間違いか。
もともと消極的で自分から人の輪に入れない僕は、友達なんてできなかった。今は小学四年生。今までずっと。
でもお母さんには心配を掛けたくなくてそんなこと言えないし、むしろせめてでもお母さんの負担を減らすために、家の事は僕がするようになった。
料理はお母さんが休みの日に教えてもらってる。作れる物はまだ少ないけど、これからもいっぱい覚えるつもりだ。帰ってきてからご飯があるのってすごく嬉しいことだと思うから。
明日の支度も終わって寝る準備もした。
電気を消して布団に入り目を閉じる。
僕はこの時間が嫌いだ。
外からも家の中からも何も音がしない。
この真っ暗な空間で、この世界で、僕以外誰もいないんじゃないかと感じる。
やっぱり一人は寂しい････。
─────────────
───────
『ただいまー』
今日も返事はない。ランドセルを置いて洗濯物を畳む。冷蔵庫にある物を確認してご飯を作る。宿題を終わらせてご飯を食べてお風呂に入ったらもう寝る時間。
また嫌いな時間がやってくる。
"ガシャーンッ！"
『ッ！』
大きな物音がして目が覚める。
体を起こして辺りを見渡せば、まだ真っ暗だった。
布団から出てゆっくりとリビングに向かう。
もしかしたら泥棒だろうか。と、震える手で携帯を握りしめる。
リビングに着いても部屋は真っ暗で何も見えない。
あれ以降音もしないし人の気配もないから誰もいないのかと思い、携帯のライトで部屋の電気を探して付ける。
電気がつけば眩しくて目を瞑る。
少しすれば慣れて、目を開けてもう一度部屋を見るとそこには、
散乱した僕が作ったご飯にお皿の破片。
そして────
『ッ！お母さん！！』
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 338人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ryo(プロフ) - もんさん» コメントありがとうございます。了解しました、今後は控えます🙇♀️ (2023年1月14日 16時) (
レス) id: 3246cdea87 (このIDを非表示/違反報告)
もん(プロフ) - お気持ち表明あまりいらないかも… (2023年1月13日 15時) (レス) @page1 id: 1a788f23e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ryo | 作成日時：2022年7月3日 20時
