君とみた夢 (ページ30)

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途端に静かになる病室。

とりあえず、ずっとこの場に立っているわけにもいかないので彼女と少し離れた位置に用意されたベッドに荷物を置き、腰をかける。

『ジェミン君』

JM｢え...｣

『ジェミン君は2000年生まれでしたよね？』

JM｢あ、うん。Aちゃんもそうだって聞...きました｣

『そうなんです。じゃあ...あの、敬語外してもいいかな？』

JM｢あぁ...全然いいよ。俺、堅苦しいの好きじゃないし｣

『良かった！私も敬語ってなんだか慣れなくて』

俺の返事を聞いた彼女は安心したかのように、先程とはまた違う笑顔を見せた。どう接していいか分からなかったが、彼女の方から声をかけてきてくれたので助かった。

『....ジェミン君、あのね....怒らないで聞いて欲しいんだけど』

JM｢ん？｣

彼女...Aちゃんは俺から目を逸らし、しばらく言い淀んだ後、また俺と視線が交わる。

『.....私、ジェミン君のこと知ってるんだ』

JM｢.....ッ！？｣

『小児科に知り合いの女の子がいてね、その子が最近アイドルにハマってるらしくて、今はジェミン君がいるグループが1番好きなんだって。それで私にも一度動画を見せてくれたの。....嘘ついてごめんなさい』

JM｢.....｣

なんだ、そういうことか....。と内心安堵する。いきなり俺のことを知っていると言うものだから、つい俺と同じで夢をみたのではないかと思ってしまった。

考えてみればすぐわかることだ。俺はアイドルをしていて、公の場にでている。ネットにも動画はあがっているし、知っていても何ら不思議ではない。俺と同じような夢をみる方が普通ではないのだ。

『やっぱり怒ったよね...ホントにごめんなさい....』

俺が1人で色々と考えていると、それを怒っていると勘違いしたのかAちゃんがシュンとしてしまう。

JM｢いや、怒ってないよ｣

『....でもジェミン君は、私が君のことをアイドルだって知らないって聞いたからここに来たんでしょ？知られてると色々不都合があるんじゃないの？』

JM｢確かに、誰かに口外されたりしたら大変だし困るよ｣

『ならやっぱり....ここにはいられない？』

俺を見つめる瞳が不安げに揺れる。

JM｢....いるよ｣

『え.....？』

JM｢俺は、ここにいるよ｣

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