35話 ページ3
太宰があのような脅迫状を出す相手は、どう考えてもただ一つ、ポートマフィアに違いない。 マフィアへの脅迫状と、異変しかない太宰からの伝言の紙。
Aは厭な予感がして、探偵社支給の携帯電話を手に取った。釦を操作し、携帯の画面にとある電話番号を映し出す。その人物とは勿論、太宰治である。そしてその電話番号は、探偵社の携帯の番号だった。
探偵社員は皆、探偵社の携帯を持ち歩くように云い渡されていた。若し緊急事態に陥った場合に、直ぐ動けるようにする為である。太宰も一応それに倣っているらしく、基本社の携帯を持ち歩いていた。川に入る時も、女性を口説く時も、仕事をさぼっている時も、だ。
だが、若しもAの予感が中っていれば、今日の太宰は確実にこの携帯を置いて行っている。
Aは祈るような気持ちで、電話の発信釦を押した。僅かな静寂の後、画面から発信音が聞こえてくる。それと同時に、部屋の奥から携帯の着信音が響いてきた。
(……最悪)
彼女は顔をしかめた。矢張り、太宰は探偵社の携帯を置いて行っている。如何やら、予感が中ってしまったようだ。Aは音がする方へ近づき、彼の携帯を探した。音は、畳まれている蒲団の中から聞こえてきていた。手を蒲団の隙間に突っ込めば、硬い感触が伝わった。
太宰の携帯を手に取ると、彼女は真っ先に発信履歴を調べた。
040-1444-3322 060-2000-5555 0130-533-888 030-1116-6666 060-1110-0444 040-4499-5511 0700-222-7666 035-111-5511 040-9992-9888 030-9999-9332 0130-2255-55
携帯の番号やフリーダイヤル、家電に至る迄、履歴に残っている電話番号はまちまちだったが、どれもAの知らない番号ばかりだった。Aは試しに、一番上の電話番号に電話を掛けようと試みた。然し、返って来たのは「こちらの電話番号は現在存在しておりません」という無機質な声。他も幾つか試してみたが、似たような反応ばかりだった。
彼女は確信した。これは、太宰が残した真の伝言なのだ。
＊ ＊ ＊
「何がよろしく、よ」
Aは身支度を整えると、着の身着のままで外に出た。探偵社の携帯は、太宰のと共に部屋の隅に置いてきた。そんな彼女の行き先は、探偵社ではなくポートマフィアだ。
因みに、昨日の失敗を踏まえ、国木田には連絡を入れた。休暇申請をしたのだ。ただ、電話が繋がらず、電子書面での連絡だったので、一方的な休暇宣言となってしまったが。
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麗(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！！ (2021年5月22日 17時) (
レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
りか（かりんとう）(プロフ) - わー！！！！！更新されている……めちゃめちゃ嬉しい、、、、、これからも応援しています！！！ (2020年4月30日 22時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
こよひ(プロフ) - りか（かりんとう）さん» 遅くなってしまって申し訳ありません。お読みいただき本当にありがとうございます。私事なのですが、来年受験のためしばらく更新をするのは厳しいかもしれません。気長にお待ちいただければ幸いです。 (2020年1月21日 15時) (レス) id: 38c890fd29 (このIDを非表示/違反報告)
りか（かりんとう）(プロフ) - とても面白いです！！続きがとても楽しみです。更新まってます……！！ (2020年1月2日 23時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こよひ | 作成日時：2019年5月2日 23時
