３０.思い出に浸りながら ページ35
私と彼女が出会ったのはもう二十年も昔になるな。
「お友達になりませんかっ？」
クラスに馴染めてない私に気を使って、隣の学級委員長である彼女が話しかけてくれたのがキッカケだった。
その笑顔は向日葵のように可憐で、他の女の子とは違う、特別な何かがあったよ。
三年間クラスも一緒で、席も毎回席替えがあったに関わらず隣だった。
まあ今思うと、本当は彼女が裏で手を回していたのかもしれないけれど。
その時は実際に『運命の赤い糸が私たちを引き寄せてる』なんて思ってしまったりね。
これが若気の至りってモノだよ。君もいつかわかる。
「日向さんは何してるんだい？」
「んー、絵描いてるんだ。ほら、」
彼女は相当変わり者だった、悪い意味じゃなくて良い意味で。
いつもスケッチブック片手に学校中を歩き回って、生き物たちや日常の風景を描いていた。
そして、私に見せるのが日課だったような気がする。
その美しい個性を使って、誰もを笑顔にすることができるんだ。
そんな彼女が凄い、それに比べて自分は。
自分の悪い癖を、嫌だと思った。
「じゃあ、またね塚内くん 」
第二ボタンはもう無いかぁ、と残念がる彼女を不思議に思ったのをよく覚えている。
卒業後、私は警察という人々を隠れながらに支える職業に憧れ、その道を歩み、彼女らはヒーローとして日々輝いていた。
別にヒーローが嫌いだったわけじゃない。縁の下の力持ちの、ヒーローを裏で支える職業って良いなあ、と学生時代には薄々感じていた。
私はあまり運動は得意では無いし、個性も強力ではなかった。なんといっても、周囲の人間を見る目が無い、つまり鈍いとよく言われていた。
卒業式に言われたあの言葉も、実は彼女なりの告白だったのかもしれないが、イタズラ好きの彼女の真意はわからない。
そのまま三年、四年、と時がすぎて、遂に彼女が結婚するというおめでたい知らせまでもが来て。
結婚式に出席した時はそりゃあ驚いた。彼女はこんなにも綺麗だったんだ、なんて。
「君が遅いからだよ 」
周りの同級生はもう誰かしら家庭を築いていて、独身なのは私とオールマイトぐらいしかいない、と
彼女は笑っていた。
本当は私は彼女を愛していたかもしれない。彼女も私を愛してくれていたかもしれない。
けれど、真実はいつも曖昧な方が丁度いい。
彼女が亡くなった深い悲しみを味わうよりは、この恋心を捨ててしまおう。
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純 - 視力検査の時の気持ちがめちゃわかる………次の人居るのに分かりませんとしか言えないやつぅ………(大きいやつは見える)共感できるわぁ… 更新、頑張ってください！ (2018年11月27日 18時) (
レス) id: 8c64a29224 (このIDを非表示/違反報告)
バイオレットムーン - 日向翔陽…。 (2018年1月20日 19時) (レス) id: 655aa0a522 (このIDを非表示/違反報告)
ももか - 面白いです！ナレーションに笑ったww更新頑張ってください！ (2017年5月16日 14時) (レス) id: 7312e066ce (このIDを非表示/違反報告)
鑑にいな(プロフ) - 緑谷くん可愛い。愛を感じるな！ (2017年5月14日 18時) (レス) id: 9bea628e80 (このIDを非表示/違反報告)
すばる(プロフ) - 面白いです！丸メガネいいですよね笑 私メガネ大好きなんです！！人を怒らせる才能で笑いましたw これからも頑張ってください！！ (2017年5月13日 16時) (レス) id: d8ed81e829 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：正義のヒーロー赤マフラーZ | 作成日時：2017年5月8日 19時
