１０.機械仕掛けのメモリー容量 ページ11
「...轟くん...？そんなに、急いでどうしたー･･･ッ!!」
目の前には轟の胸板、そして鼻元に漂うふわりとしたフローラルな柔軟剤の香り。
Aは生まれてこの方、恋愛というモノを少女マンガやその類上でしか見たことがありません。
なので今こうしてイケメンに抱き締められているだけで、顔、いや耳の付け根まで真っ赤にしています。
「...今までどこに行ってたんだ。」
重低音だが、芯のある梶さんヴォイスで耳元に囁かれたモンだから、Aはうひゃあっと色気のない声で反応しました。
「今までって何も...私達初対面でしょ...?あ、あのそろそろ離しー･･･」
「お前、昔の事を覚えていないのか。」
おっと、この主人公、さっきからセリフを遮られてばっかりです。なんと不憫。
どんな質問を訊ねられるか身構えていると、それはとてもあっけらかんにシンプルで。
･
･
「...そんなの、小さい頃の記憶なんて誰だって…あれ？」
今は亡き母と過ごした五年間。一緒にお絵かきをしたり、お父さんとも動物園に行ったり。それら全ては掠れることなく鮮やかに、今でも昨日の事のように思い出せるけれども、
「...お母さんがいなくなった後って、どこで...、何をしてたんだっけ…？」
空っぽな口調で切れ切れな言葉を呟きました。
思い出せない、どうしても。
遠い日の夢のような印象は淡くなり、母の面影も幼い頃も溶けるように消えていってしまう。
そして、ひどく高い音を聞いたようなキンとする頭の痛みは治まることを知らずに、大合唱を奏でています。
「...あれ...今、私...なにしてたんだっけ…？」
段々と記憶と共に消えていく、狭霧のような取り止めもない意識。
「...A。もう...眠れ...」
途切れ途切れに頭に鳴り響いたのはそんな言葉。
そして意識を放す手前、轟の世界が明日なくなってしまう時のような絶望と苦しみを交えた表情が一瞬だけ視界によぎりました。
１１.コミュ障チキンの憂鬱→←９.いつもの場所だけどいつもと違う
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純 - 視力検査の時の気持ちがめちゃわかる………次の人居るのに分かりませんとしか言えないやつぅ………(大きいやつは見える)共感できるわぁ… 更新、頑張ってください！ (2018年11月27日 18時) (
レス) id: 8c64a29224 (このIDを非表示/違反報告)
バイオレットムーン - 日向翔陽…。 (2018年1月20日 19時) (レス) id: 655aa0a522 (このIDを非表示/違反報告)
ももか - 面白いです！ナレーションに笑ったww更新頑張ってください！ (2017年5月16日 14時) (レス) id: 7312e066ce (このIDを非表示/違反報告)
鑑にいな(プロフ) - 緑谷くん可愛い。愛を感じるな！ (2017年5月14日 18時) (レス) id: 9bea628e80 (このIDを非表示/違反報告)
すばる(プロフ) - 面白いです！丸メガネいいですよね笑 私メガネ大好きなんです！！人を怒らせる才能で笑いましたw これからも頑張ってください！！ (2017年5月13日 16時) (レス) id: d8ed81e829 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：正義のヒーロー赤マフラーZ | 作成日時：2017年5月8日 19時
