番外編:桔梗 七 ページ39
─主人公side─
『何故?!何故出てこられたの?!』
狂ったように叫ぶ付喪神。
それからわたしを守るように春草さんが抱き締めてくれる。
『もう止めなさい。』
凛とした懐かしい声。
もう聞けないはずの声がした。
「ぁっ!!」
わたし達と付喪神の間に浮かぶ朧な影。
それは懐かしい背中だった。
『貴女の想い人は違うはずよ。鏡の付喪神。貴女の想い人はもう此処には居ない事なんて分かっているでしょう?』
『っ!!』
『この方はこの娘の想い人。似ていても違うのよ。今の貴女のように。』
『……分かったわ。いいえ、分かっていたのねワタシ。ずっと信じたくなくて逃げていた。……ごめんなさい。貴女から大切な人を奪おうとして。』
穏やかに付喪神が微笑みかけてくる。
それにわたしはただ首を振ることしかできなかった。
口を開けば泣き出してしまいそうだった。
『でも貴女方ならこの女が出てこなくてもワタシに勝ててたわね。』
苦笑するように付喪神は笑った。
『今なら分かるわ貴女方の愛の深さが。……お幸せにね。』
「っ、待って!!」
『?』
気が付けばわたしは消えようとする付喪神を引き留めていた。
「…君の想い人もきっと……きっと見つかる!!だって君がそれほどまでに想っているんだもの。…きっと見つかるよ!!だから…そんな悲しい顔しないで。」
『…貴女ってお人好しね。ありがとう。でもさっきもこの女が言ったように此処にはもう居ないの。』
「そんな……」
『最期に貴女に会えて良かったわ。それから……春草、ごめんなさい。でも、ワタシ嬉しかったの。貴方がワタシを誉めてくれたこと。ありがとう。』
そして付喪神は消えた。
美しい微笑みを残して。
付喪神の戻った鏡をそっと持ち上げた。
((ﾊﾟﾘﾝｯ
でも、音と共に鏡は粉々に割れてしまった。
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さく - とても素敵で素晴らしい話だと思います。小説書くのお上手ですね。 (2019年10月7日 9時) (
レス) id: b8170bd752 (このIDを非表示/違反報告)
さく - とても素敵で素晴らしい話だと思います。小説書くのお上手ですね。 (2019年10月7日 9時) (レス) id: b8170bd752 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - 春草さんが可愛すぎて．．．．もうやばいです。小説上手いですね！ (2019年6月5日 17時) (レス) id: 92d1256844 (このIDを非表示/違反報告)
里緒(プロフ) - 春草さん！とっっても素敵でした！桔梗の花言葉のところとか...大好きです！こんなに素敵な物語、ありがとうございました！！ (2015年10月1日 22時) (レス) id: b89a9213f8 (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 物語がすごいおもしろいです！！読んでいたら二日ですべて読み終わりました。 (2015年8月7日 22時) (レス) id: 60fbd9e7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月陰†芽々 | 作成日時：2015年5月5日 11時
