最終話:君ト二人イツマデモ ページ28
─主人公side─
「それなら、隠れるだろ」
「っ!!///」
耳元でいきなり囁かれ、心臓が飛び出してしまいそうだった。
いつの間にか隣には同じように川をのぞき込むひしださんが居た。
でも隠れるとは何のことだろうか?
首を傾げるとひしださんはとんとんと自分の首もとを指差した。
「痣」
「!!」
ずっと心の片隅で気にしていた痣。
羽織の襟元をどれだけしめてもなかなか全ては隠れてくれなくて半ば諦めていた。
それをひしださんは気がついてくれていたようだった。
それがたまらなく嬉しい。
溢れんばかりのこの思いを伝えたくて深々と頭を下げた。
「ありがとうございます…!!」
嬉しすぎて涙がこぼれてしまいそうだった。
「君にはそういった色の方が似合うと前から思ってたけど…」
すっと顎に手を添えられ、上を向かせられる。
その手は優しい。
「思ってたとおり似合ってる」
至近距離で見つめられて顔が火照った熱でやられてしまいそう。
ひしださんは悪戯げに微笑んだ。
「顔真っ赤」
「っ///だって…ひしださんが…」
「あのさ、もう止めてくれない」
「?!」
何を止めれば良いのか分からないけれどその言葉はチクリと胸を刺す。
「な、何を……?」
「その呼び方。」
思いがけない事で一瞬呆けてしまった。
「菱田じゃなくて名前で呼んで。俺だけが君を名前で呼んでるなんて不公平だろ」
耳元で囁く言葉はとろりと耳を溶かしてしまいそうな甘さを含んでいて否とは言わせてくれない。
「しゅ……春草さん…?」
どぎまぎしながら彼の名を呼べば、よくできたと言わんばかりに接吻が耳に落とされた。
────
その声で名前を呼んで欲しい。
その手で触れていて欲しい。
その温もりを感じていたい。
この空を眺めていたい。
この時を生きたい。
─君ト二人イツマデモ─
──End
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さく - とても素敵で素晴らしい話だと思います。小説書くのお上手ですね。 (2019年10月7日 9時) (
レス) id: b8170bd752 (このIDを非表示/違反報告)
さく - とても素敵で素晴らしい話だと思います。小説書くのお上手ですね。 (2019年10月7日 9時) (レス) id: b8170bd752 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - 春草さんが可愛すぎて．．．．もうやばいです。小説上手いですね！ (2019年6月5日 17時) (レス) id: 92d1256844 (このIDを非表示/違反報告)
里緒(プロフ) - 春草さん！とっっても素敵でした！桔梗の花言葉のところとか...大好きです！こんなに素敵な物語、ありがとうございました！！ (2015年10月1日 22時) (レス) id: b89a9213f8 (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 物語がすごいおもしろいです！！読んでいたら二日ですべて読み終わりました。 (2015年8月7日 22時) (レス) id: 60fbd9e7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月陰†芽々 | 作成日時：2015年5月5日 11時
