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六拾参:逢イタイ人 ページ21

─主人公side─

「行っちゃった。」

また静けさが戻ってきた。
何処からか犬の遠吠えが聞こえる。

「わたしが愛している人…か」

呟いて考えてみる。
一番半妖だって知られたくなかった人。

“君、俺だけに名乗らせておくつもり?”

“ さぁ、どうかな。さっきまでの君だったらこねそうな勢いだったけど? ”

“ 君、そんなのでよくお使いとかできたね… ”

“A”

浮かんだのは柔らかい若草色の髪。

「っ…!!」

何時もは少し意地悪な事を言うけどでも泣いている時は傍に居てくれた。
優しくて暖かい人。

「ひしださんっ…」

涙が零れた。
胸が今まで感じたことの無い痛みを訴える。
これが誰かを愛するということなんだ。
この痛みが。

「逢いたい……」

自分から逃げて来たのに逢いたいなんてずるい。
そんな事分かってる。
でも逢いたくなってしまった。

「?」

何処かで彼に呼ばれた気がした。
幻聴?
そんなのまで聞こえるなんてわたしの中でどれだけひしださんの存在は大きいのだろう。

「逢いたいよ……」

「っ!!見つけたっ」

「??!!」

目の前に逢いたくて仕方なかった人が居る。
こんな所に居るはずないのに…
じゃあ……

「幻覚?」

「君、何言ってるの。幻覚じゃないから。」

「っ!!本物?!」

反射的に立ち上がって東屋を飛び出した。
後ろからひしださんの声が聞こえたけどかまわずに走った。
見られた。
この紅い目を。

“消え失せろよ”

ひしださんにそう言われるのが怖かった。

六拾四:信ジルコト→←六拾弐:答エハ心ノ中ニ 



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さく - とても素敵で素晴らしい話だと思います。小説書くのお上手ですね。 (2019年10月7日 9時) (レス) id: b8170bd752 (このIDを非表示/違反報告)
さく - とても素敵で素晴らしい話だと思います。小説書くのお上手ですね。 (2019年10月7日 9時) (レス) id: b8170bd752 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - 春草さんが可愛すぎて....もうやばいです。小説上手いですね! (2019年6月5日 17時) (レス) id: 92d1256844 (このIDを非表示/違反報告)
里緒(プロフ) - 春草さん!とっっても素敵でした!桔梗の花言葉のところとか...大好きです!こんなに素敵な物語、ありがとうございました!! (2015年10月1日 22時) (レス) id: b89a9213f8 (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 物語がすごいおもしろいです!!読んでいたら二日ですべて読み終わりました。 (2015年8月7日 22時) (レス) id: 60fbd9e7f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月陰†芽々 | 作成日時:2015年5月5日 11時

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