六拾壱:不思議ナ人物 ページ19
─主人公side─
冷たい風に身震いをして目が覚めた。
空にはあの日─記憶を封じた夜と同じ、欠けた月がわたしを嘲笑うかのように浮かんでいる。
「一つ月夜を詠おうぞ
二つ物の怪共と詠おうぞ
三つ夜が更けるまで詠おうぞ
四つ詠って踊って皆消えようぞ…」
口ずさむ唄は幼い頃にどこかで聴いた唄。
人間と物の怪が一緒に月夜の詠を楽しんでいる。
でも最期には皆消えてしまう─つまり死んでしまう。
悲しいけれど…いや悲しいからこそ覚えていた。
唄が人間と物の怪は共に居ることはできないと言っているようだったから。
その唄を口ずさみながら人気のない公園を少し歩いた。
吹き抜ける風は冷たく、聞こえるのはその音だけ。
此処だけが全てから切り離されているかのように静かだ。
東屋まで歩き、そっと腰掛けた。
見上げた空には星々が輝いている。
「きれい…」
「本当にね。今日は天気が良くて星もよく見える。天体観測にはピッタリな日だ。」
「っ�・�・�・??!!」
いきなり声がして其方を見れば先程までは犬の気配すら無かったのに其処には飄々とした白銀の髪の人が立っていた。
赤い燕尾服に同色の帽子、片眼鏡。
その眼鏡の奥の目は狐を思わせる細い目。
どこか掴み所の無い雰囲気を醸し出している。
「………」
「これだけ星が見えれば天体観測望遠鏡なんて要らないね!現代の東京もこれくらい星が見えると楽しいんだけどなぁ。」
そしてぺらぺらと1人話している。
じっと観察していると目があった。
相手は一瞬驚いた顔をしたけどそれはすぐに微笑みに変わった。
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さく - とても素敵で素晴らしい話だと思います。小説書くのお上手ですね。 (2019年10月7日 9時) (レス) id: b8170bd752 (このIDを非表示/違反報告)
さく - とても素敵で素晴らしい話だと思います。小説書くのお上手ですね。 (2019年10月7日 9時) (レス) id: b8170bd752 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - 春草さんが可愛すぎて....もうやばいです。小説上手いですね! (2019年6月5日 17時) (レス) id: 92d1256844 (このIDを非表示/違反報告)
里緒(プロフ) - 春草さん!とっっても素敵でした!桔梗の花言葉のところとか...大好きです!こんなに素敵な物語、ありがとうございました!! (2015年10月1日 22時) (レス) id: b89a9213f8 (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 物語がすごいおもしろいです!!読んでいたら二日ですべて読み終わりました。 (2015年8月7日 22時) (レス) id: 60fbd9e7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月陰†芽々 | 作成日時:2015年5月5日 11時