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五拾四:別レノ準備 ページ12

─主人公side─

「猫ちゃん。昨夜は大丈夫だったのかい?」

朝餉をいただいていると向かいの森さんが心配そうに尋ねてきた。

「はい。ご心配をおかけしてすみません。この通り元気です!!」

ぶんぶんと腕を振ってみせる。

「あのさ、食事中に腕を振らないでくれる?危ないだろ。」

「うっ…ごめんなさい」

「君の子供な所は今に始まった事じゃないから気にしてないけど。」

呆れたようにそう言ってひしださんは箸を進める。
森さんがふいに手を伸ばしてきた。
そしてそっとわたしの唇に触れる。

「?!//」

「米粒がついていたのだよ。」

ニヤリと悪戯っ子のような笑みを浮かべて米粒のついた指を揺らす。
カッと顔が熱くなるのが自分でも分かった。

「い、言って下されば自分で取れましたよっ///」

そう抗議するけれど森さんは素知らぬ顔でひしださんを見た。

「おやおや春草。随分と面白くなさそうな顔をしているね。」

「…食事中に風紀が乱れるような行為を目の前でされたら誰だってそんな顔します。」

「まぁ、そういうことにしておこうではないか。」

ムスッとするひしださんに楽しそうに笑う森さん。
そしてそれを見ているわたし。
この数週間当たり前になってしまったいたこの日々とも、もう別れを告げなければならない。
時間は無い。
別れを告げるための準備をしなくちゃ。

「A、A?」

「は、はい?!」

「大丈夫かい?」

「え?は、はい。先程も言ったように元気ですよ?」

「だが、ぼんやりとしていたではないか。やはりどこか具合が悪いのかい?」

「いえ、ちょっと考え事をしていただけです。」

「今日はゆっくりと休んでいなさい。」

「でも今日は少し用事が…」

「そんな顔でどこに行く気。君、昨日ろくに寝てないだろ。隈が酷いし、肌も青白い。」

ひしださんの指摘は正しい。
実は昨日、なかなか寝つけなかったのだ。
これからのことを考えていたのもあるけど…
言い訳が思いつかなくて…

「そ、そんな事無いですよ。それにどうしても行かないといけないので。」

「…はぁこれは何を言っても無理そうな目だ。」

「君ってさ、変なところで頑固だよね。」

2人揃ってため息混じりにわたしを見る。

そんなに頑固かな?

──

五拾五:別レノ神楽坂→←五拾参:知ラズ知ラズニ…



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さく - とても素敵で素晴らしい話だと思います。小説書くのお上手ですね。 (2019年10月7日 9時) (レス) id: b8170bd752 (このIDを非表示/違反報告)
さく - とても素敵で素晴らしい話だと思います。小説書くのお上手ですね。 (2019年10月7日 9時) (レス) id: b8170bd752 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - 春草さんが可愛すぎて....もうやばいです。小説上手いですね! (2019年6月5日 17時) (レス) id: 92d1256844 (このIDを非表示/違反報告)
里緒(プロフ) - 春草さん!とっっても素敵でした!桔梗の花言葉のところとか...大好きです!こんなに素敵な物語、ありがとうございました!! (2015年10月1日 22時) (レス) id: b89a9213f8 (このIDを非表示/違反報告)
シアン - 物語がすごいおもしろいです!!読んでいたら二日ですべて読み終わりました。 (2015年8月7日 22時) (レス) id: 60fbd9e7f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月陰†芽々 | 作成日時:2015年5月5日 11時

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