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過去から逃げてる ページ50

旺太郎「・・・買い被んなよ」



宰子は背を向けて椅子に座る俺の前に回り込んで来た。



宰子「わ、私は!あなたを信じてる。あなたが、私を信じてるって言ってくれたから」



何も言い返さない俺に宰子はまたメモを差し出して来る。



宰子の顔を見ると、宰子は俺に小さく頷いた。



それを見て俺はメモを受け取る。



旺太郎「・・・先に俺ん家に行ってろ」



そう言って自分の家の鍵を宰子に渡した。



俺は何も言わずに宰子の家を出る。





向かった先は漁港だった。



親父は一人で海を眺めている。



俺が静かに近付くと親父は振り返って俺の顔を見た。



旺「旺太郎・・・」



旺太郎「アンタを許すつもりはない。捕まったからじゃない、・・・アンタが俺とお袋を捨てて逃げたからだ。・・・何で家に帰って来なかったんだよ!」



親父は俯いて何も言わない。



旺太郎「事故の賠償金で、借金まみれになるのが怖かったのか」



俺の言葉に親父は顔を上げた。



旺「あのお金も、お前が払ってくれてるそうだな」



旺太郎「そんなことはどうだっていい」



俺はゆっくりと親父との距離を縮める。



旺太郎「何で逃げたんだよ!それくらい答えろよ」



旺「・・・見たんだよ」



親父は海を見ながらそう言う。



旺「母さんが・・・光太を探してるのを見たんだよ。光太は死んでるのに・・・母さんは、必死で探し続けていた。・・・辛かった。辛くて、母さんに声を掛けられなかった。私が、弱かったせいだ」



そう言って親父は俺に向き直った。



旺「本当にすまない!」



俺は泣きそうになってる親父に光太の靴を差し出した。



旺「こっこれは・・・」



光太のだよ。・・・12年前のあの日、俺が無理に誘って船に乗せた時、光太が履いてた靴だよ」



親父は信じられないという様子で靴を受け取った。



旺「どうして・・・」



旺太郎「・・・宰子も乗ってたんだ。あの船に。・・・光太が俺達を、会わせてくれたのかもな」



旺「光太が・・・」



親父は靴を大事そうに握り締めた。



旺太郎「行ってやれよ。・・・お袋に持って行ってやれよ。・・・お袋も逃げてるんだよ。あの時からずっと」



親父は俺の言葉に動き出した。



街中でチラシを配るお袋の元に向かう。



親父は頭を下げて謝り、光太の靴をお袋に渡した。



それを受け取ったお袋は涙を流す。

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設定タグ:トドメの接吻 , 並樹尊氏 , エイト/堂島旺太郎   
作品ジャンル:恋愛
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御羅津魅羽喜(プロフ) - 設定できてなかったんですね!教えて下さりありがとうございます! (2018年3月13日 14時) (レス) id: 612b752767 (このIDを非表示/違反報告)
玄ちゃん(プロフ) - 続編にいっているのであれば、続くではなく、続編にいっていることを書いてくださらないと分かりませんよ??? (2018年3月13日 14時) (レス) id: f00d27de65 (このIDを非表示/違反報告)
御羅津魅羽喜(プロフ) - 上手く話がまとまるよう頑張ります!コメントありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2018年3月1日 7時) (レス) id: 612b752767 (このIDを非表示/違反報告)
SAYA - すごくおもしろいです!応援してます!頑張ってください! (2018年2月28日 23時) (レス) id: ac3c02d033 (このIDを非表示/違反報告)
御羅津魅羽喜(プロフ) - コメントありがとうございました!これからもドラマに沿いながら尊氏とのシーンも増やしていくのでよろしくお願いします! (2018年2月14日 7時) (レス) id: 612b752767 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:御羅津魅羽喜 | 作成日時:2018年2月13日 13時

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