《トドメの接吻》 愛は誰にでも

逃げられる ページ23

まぁ、タイムリープをしてる俺だからこそ知る尊氏の裏の顔だけどな。



エイト「お兄さんは犯人に心当たりはないんですか？」



尊氏「あるわけないだろ」



警戒するように俺を睨む尊氏。



その時、尊氏の携帯に着信が来た。



画面を確認する尊氏に俺は言う。



エイト「布袋・・・から何の電話ですか？」



俺の言葉に警戒心むき出しの尊氏。



俺は余裕そうに笑みを向けた。



刑事「お待たせしました！」



尊氏「すいません、もう席を外しても構いませんか。この後予定があるので」



刑事「どうぞ」



尊氏「失礼します」



この場を立ち去る尊氏。



布袋からビデオテープを受け取るつもりか。



エイト「すいません、僕も予定があるので」



そう言って刑事の横を通り過ぎようとすると止められた。



刑事「堂島さんは、話の続きを聞かせて下さい」



何で俺だけなんだよ。



疑うなら俺より尊氏だろ。



またテープを手に入れられなくなっちまう。



エイト「あっいや、本当に用があるんです」



また進もうとしたが止められてしまう。



刑事「捜査にご協力をお願いします」



こうなったら・・・。



エイト「分かりました・・・待っててすぐ戻るから！」



諦めたと思わせ刑事から逃げた。



刑事「堂島さん！」



刑事から逃げることは出来たが、すでに外に尊氏の姿はなかった。



エイト「クソッ・・・」



また逃げられた。



諦めて戻ろうとすると宰子が柱の陰からこちらを見ていることに気が付いた。



エイト「まだいたのか」



宰子「いっ生きててくれて、よかった」



エイト「お前が来なけりゃ、テープを取られなかったんだよ！」



宰子は俺の言葉に俯いた。



俺の人生こいつに邪魔されてばっかりだよ。



宰子「・・・実は・・・あ、あなた」



エイト「布袋に殴られて死ぬほど軟じゃねぇよ」



そう言い捨ててその場を離れた。



アイツを助けたせいで光太は死んだんだ。



顔も見たくねぇ。



イライラしながら電話を掛ける。



相手は布袋だ。



テープと引き換えにお前が犯人であることは黙っておくと脅した。



尊氏に取られる前に手に入れなければ。

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