FEARS 目覚めた彼ら Chapter3

痛み ページ3

慎「樹さんにしてはよく話しますね、意外です」









その声に足を止め振り向く









そこには壁に寄り掛かってこちらを見つめる慎の姿があった









樹「・・・何が」









慎「いや特に意味はないですけど。ただでさえ普段から口数の少ない樹さんなのに、憎むべき相手とよく関わってるなぁと」









口角を上げて話す慎に樹は気分を害し、眉を寄せる









樹「何か言いたいことがあんならハッキリ言えば」









そんな樹に慎は一度口を閉じる









フッとその場の空気が冷えていく









慎「あんな奴構ってないで、早くみんなで下界に降りましょうよ」









樹「それは壱馬さんが決めることだ。・・・それとも何、“俺も話したいのに”って気持ちの裏返しがそのケンカ腰か？」









慎「は？そんなわけないでしょ！俺がどれだけ人間を憎んでると・・・！」









樹は声を荒げる慎に手を伸ばした









唐突な行動に言葉を詰まらせる慎の肩を掴み、耳元に顔を寄せる









樹「・・・分かってるよ。疑問な点はあるけどな」









慎「・・・疑問？」









樹「人間への復讐は俺達全員に共通する目標だ。でもお前はまだあるだろ？そんなに焦る理由が」









慎「・・・・・・」









樹「復讐が無事終わったとして・・・お前のこの肩の痛みはなくなるのか？」









樹は掴んだ慎の右肩から手を放し、その肩を見下ろす









慎「・・・知りませんよ、そんなこと。少なくともこの痛みを抱えることになった原因はアイツらだ」









樹「・・・そうだな。・・・俺達はいつまで悪夢の中を生きなくちゃならないのか・・・」

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