FEARS 目覚めた彼ら

悩みの種 ページ10

「・・・聞いたことはありますけど、それが何ですか」




北人「さぁ、何だろうね」




“北人”の意図が分からないまま、彼は歩いて行ってしまった。




「FEARSの言い伝え・・・」




小さい頃母から聞いた話だ。




悪いことが起きても、誰かのせいにせず自分の力で解決しなさい。




母にそう教えられた。




あの男は私に言い伝えなんて教えて何をしたいのだろう。




言い伝えや昔話なんて教訓を教えるためのようなもので、実際に起きた話じゃないと思っている。




でも人を牢に閉じ込めるような人達だ。




わざわざ世間話をするためだけにここまで来たりはしないだろう。




「・・・どうしたらいいの」




落ち着こうと目を閉じると、スーッと意識が遠退いた。









北人「・・・ハァ」




何で自分の正体をバラすようなことを言ったんだ。




あの子が気付くにしろ、気付かないにしろ、俺はそんなことするような奴じゃないだろ。




自由を奪われてから200年が経った。




下界では人間の間で俺達FEARSの存在は幻になっている。




俺達を信じる者などいないだろう。




時代は変わり、俺達は孤独に取り残された。




俺達のことはどんなストーリーで伝わっているのか。







・・・まぁそれも、これから滅ぼされるんだから知っても意味はない。




ズサッと微かに砂が擦れる音が俺の耳に届いた。




思い付く原因はあの子だ。




砂が敷かれている場所は廊下しかない。




さっきは隅に座り込んでいたが、移動したか。




いや、あの子が動いたから何だっていうんだ。




俺には関係ない。




北人「・・・悩むって面倒くさい」





自分自身の行動に嫌気が差していた俺は乱暴に頭を掻いて牢から離れた。

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