諦めた命 ページ7
北人「陸さん」
一人の男が“陸”に並ぶ。
北人「この女、ビルから飛び降りて気失ってたんですよ。そのまま牢に入れたんで答えられないに決まってます」
“北人”は“陸”から私へと視線を移す。
北人「そうだよな」
向けられたその目は“はい”以外の言葉を受け入れる気は微塵もなく感じた。
「・・・はっ、はい・・・」
その間、“陸”の歪んだ表情が緩むことはない。
陸「どういうつもりだ北人」
北人「だからさっきも説明したじゃないですか。助けたことに深い意味はないと・・・」
陸「そうじゃねぇよ!なぜ今もまだ人間を庇う!?」
“庇う”?
私は北人という男に庇われているのか。
深い意味はないと言うのなら、当然見捨てることだって選択肢にあったはずだ。
陸「人間は俺らにとって殺戮対象に過ぎない」
“陸”はそう呟いて私の首に手を掛け締め上げた。
「ぐっ・・・っ・・・や・・・」
翔平「陸さん!」
霞む視界の端で誰かが駆け寄ってくるのが見えた。
北人「っ・・・」
「カハッ・・・や・・・て・・・」
このまま死ぬのだろうか、この大きな手によって。
・・・それもいいかもしれない。
私は死ぬ覚悟でビルの屋上に立ったのだから。
どんな場所であろうと、
どんな死に方であろうと、
この世から離れることができるのならそれ以上は何も望まない。
私は抵抗して掴んでいた彼の手を離した。
“陸”は僅かにためらいを見せて力が緩む。
でもお願い。
殺してくれるのならこのまま死なせて。
壱馬「・・・」
私には何もない。
残っているのはこの惨めな命だけ。
どうかこのまま奪ってください・・・
力也「待て」
その場に似つかわしくない落ち着いた声が響いた。
力也「陸、手を離せ」
陸「・・・チッ」
悔しそうに舌打ちをした“陸”は渋々私の首から手を離した。
「ゲホッゲホッ・・・!」
突然酸素が喉に流れ込んできて思わず床に崩れ落ちてむせる。
陣「ハァ・・・壱馬、どないする」
904人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
御羅津魅羽喜(プロフ) - 真由さん» ご指摘ありがとうございます!読み返してはいるんですけど気付きませんでした・・・少しの間更新ができないのですが、クイズを出してみたのでよかったら参加してみて下さると嬉しいです! (2020年12月25日 23時) (レス) id: 1932e21599 (このIDを非表示/違反報告)
真由 - 凄くタイプで面白かったです!続きが楽しみです!!あと、"想定外の行動"と"決定権を持った男"で北人くんの漢字が北斗になってます。 (2020年12月25日 21時) (レス) id: be6a38e13f (このIDを非表示/違反報告)
御羅津魅羽喜(プロフ) - 読んでいてくださって本当に感謝しかないです!こうして作品に対しての意見を貰えることが何よりも励みになります! (2020年12月19日 20時) (レス) id: 1932e21599 (このIDを非表示/違反報告)
理香(プロフ) - 小説も素晴らしいですね!読みやすいし、続きが気になります。次どうなるのかが気になります!寒いので暖かくして構想を練ってください。 (2020年12月19日 7時) (レス) id: cc5fb30d6c (このIDを非表示/違反報告)
御羅津魅羽喜(プロフ) - 理香さん» コメントありがとうございます!ムービーの感想を聞けて感激です!元々こういった素材を合わせて作る動画編集が得意でいくつも作っていたので、小説に合わせて作ったものを読者の方に見て頂きたかったんです・・・見て頂いて本当に嬉しいです! (2020年12月18日 23時) (レス) id: 1932e21599 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:御羅津魅羽喜 | 作成日時:2020年10月6日 21時