FEARS 目覚めた彼ら

試練の先 ページ37

壱馬「あの女は計画が済むまでは誰も殺すな。あんなのに構ってる暇があるなら計画に集中しろ。




200年も待ったんだ。失敗に終わるようなヘマだけはすんなよ」




「えっ・・・」




バッと勢いよく後ろを振り返った龍に、周りも次々と振り返った。




そこには驚いた様子で彼らを見つめるAの姿があった。




Aの発した声は本当に僅かなもの。




龍の耳はそれさえ聞き取るほど驚異的な聴力を持っている。









目が覚めてすぐ、身体が軽くなっていることに気付いた。




回復したのだ。




ベッドから降りてみてもフラつかない。




それでもまだ寝起きで、頭はボーッとしていた。




無意識に部屋から出ようと、気付けばドアノブに手を掛けていた。




普段ならそれだけで終わっていたものの、なぜかそのドアは開いたのだ。




鍵が掛かっていないという現実を理解した私はやっと目を覚ました。




「・・・あれ？」




鍵が掛かっていないなら部屋の外に見張りでもいるのかと思ったけどそれも見当たらない。




「いいのかな・・・」




無防備な状態が返って罠なのではないかと疑ってしまう。




でも千載一遇のチャンスだ。




今は大きな怪我も負ってないし、熱も下がった。




体力のある限り逃げられる。




「ハァッハァッ」




どこまでも続く廊下の景色に自分がどこを通って来たのかも分からない。




どこを曲がっても目印すらない。




？「〜〜〜〜！」




「ハァッ・・・えっ？」




声が聞こえた気がした。




何を言ったかは分からなかったけど、叫んだような声だった。




そのまま走ればよかったものを、私は声の正体を知りたくて近付いてしまった。




声の聞こえた方へ進んでいけば徐々に大きくハッキリと聞こえた。




そこは、初めの頃私が彼らと初めて対面を果たした開けた空間だった。




健太「フッだから言ってんじゃん。暇潰しだったって」




北人「っ！」




壱馬「やめろ！」




私をナイフで襲った男に殴り掛かる北人さん。




それをたった一言で止めた、中央に立つ黒髪の男。




幸い、その騒ぎのおかげで私の存在に気付く者はいないようだった。




壱馬「あの女は計画が済むまでは誰も殺すな。あんなのに構ってる暇があるなら計画に集中しろ。




200年も待ったんだ。失敗に終わるようなヘマだけはすんなよ」




「えっ・・・」




衝撃的だった。

効かなかった→←仲間割れ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す