FEARS 目覚めた彼ら

悪魔の領域 ページ4

翔平「嫌だな・・・」




北人「何が？」




翔平「暗いんですよ、気配が」




慎「そりゃあ自 殺するぐらいなんだから当たり前じゃないっすか」




慎の言葉に翔平は首を横に振る。




翔平「違うんだよ。何かこう・・・この人間が置かれた状況というか、精神的な理由だけで死を選んだわけじゃない」




陣「どういうことや」




翔平「“死んだら楽になれる”そう考えたのは間違いないだろうけど・・・孤独ですよ、この人間は」




翔平は相手の纏ったオーラが目に見える。




色や感じた感情から相手が何を考えているのかを察することができる。




感情が豊かな人物ほどそれは分かりやすいが、比例して感情の起伏が静かな人物の思考は読みにくい。




それが彼の持つ力だ。




陣「そんなん関係ないわ。人間は残らず殺す。そう決めたやろ」




慎「もう始まってるんですよ。今更なしになんてするわけがない」




彰吾「牢に入れておけばいいだろ」




彰吾の言葉をきっかけに女性の身は北人から慎へと移された。




慎「もし目が覚めたらどうします？」




翔平「いや、俺らで決めるわけにはいかないでしょ」




北人「壱馬や陸さんなんかが知ったらどうなることか」




その場の全員が一瞬動きを止めた。




雲の上、つまり“悪魔の領域”に人間がいるということが何を意味するのか。




それを許さない人物が知った時、人間の身がどうなるのか。




想像が頭に浮かんだ陣達5人は息を呑んだ。




慎「・・・やっぱり今のうちに殺して片付けましょうよ。面倒はごめんです」




陣「いや。だとすると話は別や。俺らの独断では決められんわ。それこそ何勝手なことしてんだって話になるやろ」




話し合いの結果、女性は牢の中に入れるという決断に至った。

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