FEARS 目覚めた彼ら

知らない知識でも ページ28

北人「・・・？起きて、A。ねぇ？」




軽く揺すられ私は重い瞼を上げた。




北人「やっと起きた。今日は随分眠り込んでたね」




「ごめんなさい・・・何か用事でもありましたか？」




北人「ううん、ないよ。朝ご飯を持って来たら寝てたからそのままにしてたんだけど、




昼ご飯を持って来てもまだ寝てたから起こした」




私はそれを聞いて咄嗟に身体を起こした。




「そんなに私寝てたんですか！？」




北人「うん寝てた。・・・ん？」




北人さんは突然私の顔をジッと覗き込んだ。




北人「何か頬赤くない？」




そう言って私の頬に手を伸ばした北人さんだったが、




北人「熱っ！」




指先が触れた瞬間、弾かれるように手を引っ込めた。




北人「何でこんなに体温が高いの？」




どうやら北人さんは、人間は熱が出ると体温が高くなるということを知らないようだった。




それを知るとつい私は話してしまった。




「風邪を引いてしまったようで。でも熱が高いだけなのでその内よくなります」




北人「風邪・・・？熱？」




聞いたこともない様子の言葉を繰り返している北人さん。




北人「ん〜、具合が悪いってことだよね？じゃあまだ寝てないと」




北人さんは私の肩を押してそっとベッドに寝かせた。








そして部屋を出て行った北人さんが戻って来た時には後ろに一人連れて来ていた。




「・・・」




北人「あぁ、コイツ樹っていうの。悪い奴じゃないから。口数少ないから最初は怖いかもしれないけど、あんまり警戒しないでやって」




樹「警戒って・・・俺、警戒されてた方が寄り付かれなくていいっす」




北人「そういうのいいから」




樹「はっ？ちょっ北人さん！」




樹という男を無視して北人さんは私の元まで来てベッドの横にしゃがんだ。




北人「はいこれ。風邪に効く薬なんだって」




「・・・大丈夫です」




北人「え？」




「私なんかに使ったら勿体ないですから。




さっきよりは熱も下がってますし、このまま動かないでいたら治ります」




ふと視線を感じてそちらに顔を向けると“樹”が私を睨み付けていた。




北人さんがわざわざ用意した薬を断ったことに怒っているのだろうか。




その時、北人さんが立ち上がった。






北人さんも怒った・・・？






北人「俺に嘘は通用しないよ」

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