FEARS 目覚めた彼ら

彼との距離 ページ27

“北人”の心の内を知り、自然と距離が縮まった。




人間と呼ばれる私を、北人さんだけはAと呼んでくれる。




そんな中、ある日目覚めると身体に違和感を覚えた。




「っ・・・？」




身体が重く感じる。




頭がボーッとする。




常に警戒が解けないここでの生活で、少なからず私の身体はストレスを溜め込んでいたようだ。




相変わらず部屋から出ることなど叶わない生活だけど、北人さんは優しくしてくれる。




人間ってことを考慮して食事も用意してくれる。




・・・居心地が、よく感じてしまう。




最近思うようになった。




北人さんがいるならここも嫌いじゃないと。




私はここを出ても独りぼっちだ。




素性も分からない北人さんに縋るなんて・・・バカな話だ。




それでも北人さんが私の心の拠り所になっているのは確かで、私はそんな複雑な心境でいた。




そんな私はつい数日前やっと点滴を抜ける状態まで回復したのに、今度は熱を出してしまった。




私は自分の辛い体調よりも、




食事や薬を用意してくれる北人さんに迷惑が掛かってしまうんじゃないかと真っ先に考えた。




熱なんてその内下がる。




北人さんが知ったら薬を持って来てしまうだろうから、言えない。




私がそこまでしてもらうわけにはいかない。




北人さんは部屋に“Aはこれがないとダメなんでしょ？”と、ベッドを置いてくれた。




私は一度起き上がらせた上半身を再びそのベッドに沈めた。

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