FEARS 目覚めた彼ら

違和感のある部屋 ページ22

「その、北人って人の部屋に私を繋ぐんですか？」




私の問いに男は不思議そうに首を傾げた。




海青「繋ぐ？え、何。お前北人さんのペットだった？」




「は・・・」




海青「なるほど。だから北人さんは殺さないのか。そうか・・・」




「え、いや・・・」




何か誤解を生んでしまったよう。




だが確認する間もなく私は“北人”の部屋へと案内された。









「・・・」




海青「何ボーッと突っ立ってんだよ。早く入れよ」




トンッと背中を押され、私は“ここが北人さんの部屋だ”と




開かれたドアの向こうへ足を踏み入れた。




私が点滴に繋がれて眠っていた部屋は、




ベッドとその脇に小さな棚があっただけのシンプルなところだった。




一時的な存在の私を置いておく部屋だから、しっかりした設備を備える必要もないのだろうが。




でも、“部屋というのはこういうもの”というイメージが私にはあった。




個人の部屋なら、




ベッドがあって、机があって、棚があって、衣類を入れるタンスやクローゼットがあって。




でも私のそんなイメージを、“北人”の部屋は跡形もなく打ち砕いた。




あんな言われた部屋の中には部屋を囲うように生える、真っ白な葉っぱ一つない細い木。




その真ん中にポツンと置かれた黒革の一人掛けソファ。




「あの、ここがあの人の部屋、なんですか？」




海青「文句あんのかお前。拒否権があると思うなよ」




「いや・・・はい」




これ以上会話を続けたら握られた拳が飛んできそうな気がして口をつぐんだ。




海青「北人さんはもうすぐ戻って来る。出てくんじゃねぇぞ」




バタンッと大きな音を立てて閉められたドアから視線をずらし、もう一度部屋の中を見回した。




生活感などまるでない。




身体を休ませるようなベッドもないこの部屋で、“北人”はどうやって眠っているのだろう。

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