FEARS 目覚めた彼ら

北人という男 ページ21

再び点滴に繋がれた私はこれからの行動を考えていた。




先程みたいにむやみやたらに走り回ったら簡単に見つかってしまう。




かといってここでじっとしていても何をされるか分かったものじゃない。




ふと、右腕に巻かれたスカーフに視線を落とした。




彼は、なぜ“北人”だけは違うのだろう。









・・・・・・いや、違う。




もう一人いる。




私が“陸”に首を絞められた時、誰かが駆け寄ってきていたはず。




あれは誰だった？




ハッキリと姿を見たわけではないからよく覚えていない。




ううん、ダメ。




私に優しくしてくれる人が誰とか、




そんなことを考えていたら逃げ出す意思が揺れてしまう。




私は自分の力で逃げる。




こんなところで、




あんな人達の手で、




命を落としたりしない。




海青「あ〜あ」




突然面倒そうに部屋に入って来た男は私に目を止めて立ち止まった。




屈強な男だ。




彼に捕まって力を籠められたら一たまりもないだろう。




「・・・何、ですか」




ジッと私を見たまま動かないので恐る恐る口を開いた。




海青「目の前で見るとちっこいな、お前」




「え」




突拍子もない言葉に思わず固まった。




海青「触っただけで潰れそう」




男は歩み寄りベッドの手前で止まる。




おもむろに男は私の腕に巻かれた鎖が繋がるベッドの柵に手を置いた。




その様子を目で追っているとガンッとその柵にヒビが入った。




「・・・」




嘘。




信じられない。




今何をしたの？




男は柵に手を置いた。




ちょっと指を曲げただけじゃない。




なぜそれだけのことでヒビが入るの？




彼がさっき言っていた、“触っただけで潰れそう”というのは冗談ではなさそうだ。




本当に私が潰されてしまう。




海青「・・・そんな警戒すんなよ。




お前のいる部屋が変わったから連れて来いって言われただけやから」




「え、部屋が？」




海青「北人さんの部屋にだ。分かんねぇよな、あの人も。人間を世話してどうすんだよ」




“北人”というとついさっきまで考えていた人だ。




ますます謎が深まる。




「その、北人って人の部屋に私を繋ぐんですか？」

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