FEARS 目覚めた彼ら

気に掛ける意味 ページ16

北人「・・・何で付いて来るの」




翔平「一人で大丈夫かなと心配になりまして」




北人「俺をバカにしてる？」




翔平「まさかまさか！俺達は人間のことをよく理解しているわけではないじゃないですか。




看病するなら二人の方がいいのではないかと」




そう話す北人と翔平の足はAの元へと向かっていた。




翔平「でも驚きましたよね。壱馬さんが人間を休ませるよう命令するなんて」




北人「そうだな」




翔平「目的は何であれ、助かってよかったって思ってます」




その言葉に北人は足を止めた。




北人「何でそんなにあの子に構うの」




翔平「何でですかね。俺にもよく分からないんです。




でも初めて見た時に感じたあの孤独感は忘れもしない。




長い間封印されていた俺達に重なって見えて・・・」




北人「・・・ふ〜ん」




大きな反応もなく再び歩き出す北人を翔平は慌てて追う。




翔平「北人さんこそ。人の自 殺を止めておいて、本当に何も理由はないんですか？」




北人「ん〜・・・ただの気まぐれ」




翔平「ほんっとに北人さんは・・・肝心なことははぐらかすんだから」




北人はそんな言葉を聞いているのかいないのか、Aのいる部屋のドアを開けた。




北人「は・・・？」




翔平「えっちょっ北人さん！？」




部屋を覗いた直後走り出した北人に呆気に取られる翔平。




慌てて同じように部屋を見た翔平は目を見開いた。




翔平「マジか・・・」




そこにはもぬけの殻となったベッド。




その下には点滴の水溜まりと数滴の血が垂れていた。




翔平も事態に気付き北人とは逆の方向へ走り出した。

不可能な脱出→←初めての感情は

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