FEARS 目覚めた彼ら

暗闇の悲劇 ページ2

真夜中のような状況下で金銭を目的に侵入してきた犯人は、脅し用にナイフを持っていた。




専業主婦の母はもちろん家にいた。




私は大学生だったが異常な現象で学校が休校令を出したため母と昼食の準備をしていた。




父は太陽光発電の会社に勤めていたが、太陽なんて出ない今、会社には出勤していなかった。




まだ初めの頃は契約宅からの問い合わせが殺到し、対応に追われていたが今やそれもない。




連日各メディアで状況が回復しないことが報道されているからだ。




家族が揃っている中起こった悲劇。




犯人の男は私を守ろうと抵抗した両親を殺し、怯えて動けなくなっていた私に言った。






男「俺も家族を守らなきゃならないんだ・・・本当にすまない」




警察に通報したが全国で頻発する事件の数に手が負えない状態だった。




大学生なので親戚の家に預けられる、




なんてこともなく自分の力で生きていかなければならなくなってしまった私は、




こんな状況でも働けるバイト先を探した。




24時間営業のコンビニぐらいしか求人がなく、できる限りのシフトを入れた。




「レシートご入り用ですか？」




男「いらねぇよ、んなもん」




「ありがとうございました」




男「何であれ売ってねぇんだよ！」




「大変申し訳ございません」




男「いつ上がるの？ちょっと飲みに行こうよ」




「すみません」








正直、もう続けられない。




弱音を吐ける相手もいなくて、




ずっと一人で、




こんな真っ暗な世界でどうやって生きていけって言うの・・・









気付けば私はビルの屋上に立っていた。




死は怖くない。




目の前で2回も見たもの。




両親の元へ行けると思ったら怖がる必要もない。




「私にはもう・・・何もない」




下を見下ろせばチカチカと人工的な光が辺りを照らしている。




それをボーッと見ていたらフッと意識が遠退くのを感じた。

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