84時間 ページ46
透「ほら！まだまだ！もっと相手の動きよく見て！」
『っ…はいッ』
透子さんの声が響く。
目の前には擬似ナイフで私を攻撃してくる事務所の会計担当の仁さん。
事務所に来て最初の1時間は仕事内容の説明と、事務所のヒーロー達の説明がされた。
その後直ぐに特訓へ移行した訳だが、
透「はい！終わり！休憩しよう！」
パンっと透子さんが手を叩き合図した。
それと同時にドサリと倒れこむ私。
仁「大丈夫？」
倒れてる私の目にタオルと飲み物を持って心配そうに私を見下ろす仁さんが映った。
『あ。はは、大丈夫です…っと。』
腕に力を入れて起き上がる。
仁「急にかなりハードだったもんね。逆にここまでついてこれるのすごいと思うよ」
『いやぁ…まだまだですよ』
透「体育祭の時も思ったんだけど、何かスポーツとかやってるの？」
『あ。いえ、今は特に何も。昔ちょっとだけ父に武術教わってたぐらいです』
タオルで汗を拭きながら答える。
わりと小さい時の話なんだが、今でもこうやって役に立ってるあたり、父には少し感謝しないといけないな。と思う。
透「へぇ、お父さんが！お父さんヒーロー？」
『いえ。…あ、でもあれは一種のヒーローなのか……？』
透「ん？」
『レスキュー隊なんです、私の父親』
あまり人に父の話をしたことが無いので、どう言えばいいのか迷ったが、彼も一種のヒーローなのかもしれない。
透「レスキュー隊かぁ…！それもヒーローだね。人の命救ってるんだもの」
仁「あの、もしかしてだけど、君のお父さんって、瞬城瞬時さん…？」
透「！瞬城瞬時って…！」
透子さんが驚いた顔をする。
私は、人に父のことを話してこの顔をされるのがとても嫌だった。
『はい。私の父は瞬城瞬時です』
嫌だけど、それを悟られないように振る舞うのも嫌いだ。
″瞬城瞬時″
彼が現場に来れば、どんな状況でも、必ず市民を助け出す。
なんて、お世辞が付いて回ってるような凄い人。
そして私の父親。
何故ヒーローにならなかったのか。そんな声もよく聞こえる程、優秀なレスキュー隊″らしい″
物心ついた時から父はあまり家にいなかったし、テレビで見るだけの存在だった。
だから、父のことを聞かれても正直なところ困るわけで。
仁「え？透子さん知らなかったんですか」
透「全く！えー！私見る目ある！！」
親の七光りなんて、ごめんだ。
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晶(プロフ) - 琥珀さん» ご指摘ありがとうございます。 (2018年6月9日 14時) (
レス) id: d331f215d7 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 53話の相澤先生の台詞のヒーローのところが平仮名になってましたよ (2018年6月9日 7時) (レス) id: 916e8c1e66 (このIDを非表示/違反報告)
オワタ - めっちゃお気に召しました！ (2016年7月16日 0時) (レス) id: 8f905062d1 (このIDを非表示/違反報告)
晶(プロフ) - オワタさん» ありがとうございます！！！お話更新いたしました！！！お気に召すものかどうか…！！ (2016年7月14日 14時) (レス) id: 9384625c7a (このIDを非表示/違反報告)
オワタ - ７５話面白いです！早く、早く轟君！夢主を助けてっ！ (2016年7月13日 20時) (レス) id: 8f905062d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：晶（あき） | 作成日時：2016年6月11日 18時
