File6:罠 ページ6
「沖矢さん
それ、半分ください」
「これくらい大丈夫ですよ。
怪我人は怪我を治すのが仕事なんですから
それまで頼ってください」
「すみま、……ありがとうございます」
沖矢さんはとても紳士的な人だ。
右腕が不自由な私を気遣ってくれて
今みたいに荷物を持ってくれたり
人とすれ違った時、ぶつからないように
必ず右側を歩いてくれる。
それに、さっきも
これから必要になるものは
全部沖矢さんが支払ってくれた。
大学院生なのに
なんでそんなにお金があるのか謎だけど。
*
「人だかりができてますね」
「何かあったんでしょうか」
「少し気になるので、様子を見に行きます。
すぐに戻るので、ここで待っててください」
人がお店に集まっているなら、
何かバーゲンでもあるんだろうと考えるけど
エレベーターも階段も
封鎖されているのは奇妙だ。
人混みに紛れてどういう状況なのか耳を澄ます。
「えー!!爆弾!?」
「なんか赤いTシャツの送り主を探せって」
「床に並んでるTシャツがヒントらしい」
物騒な単語が聞こえて辺りを見渡すと、
怪しい袋と爆弾を巻きつけられたという人が
目に映った。
組織と関係なさそうだけど、
関わらない方が身のためだ。
一応、写真を何枚か撮って
沖矢さんに報告しよう。
状況を把握できたから
沖矢さんの元へ戻ろうとした時、
額に火傷の痕がある、
帽子を被った男が目に映った。
赤井、秀一……!!
どうしてここに……!
彼の名を呼ぼうとした時
誰かに左手を掴まれる。
「……!」
「ここにいたんですね。
迷子になってしまったかと思いました」
沖矢さんだった。
赤井秀一がいた方へもう一度視線をやると
もうそこに彼の姿はなかった。
「どうかされました?」
「いえ……。
知り合いを見かけた気がして」
見間違い?
でも、あれは確かに赤井秀一だった。
ただあれが本当に赤井秀一なら違和感がある。
水無怜奈が赤井秀一を始末したと
ジンから聞いたけど
あの赤井秀一が簡単に死ぬなんて
考えられない……。
もし組織の目を欺くために
死を偽装したのだとしたら
白昼堂々出歩くだろうか。
なんだか腑に落ちない。
「でも気のせいだったみたいです」
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神楽(プロフ) - 舞さん» ありがとうございます!少しずつになりますが、頑張って更新します(*'▽'*) (2021年7月15日 1時) (レス) id: 526cb756dd (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください^o^ (2021年7月14日 7時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - マナさん» こんばんは! (2021年7月10日 20時) (レス) id: 526cb756dd (このIDを非表示/違反報告)
マナ - こんばんは… (2021年7月10日 18時) (レス) id: 55773c0381 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神楽 | 作成日時:2021年6月5日 22時