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警察での事情聴取を終えて
少年は、次の目的地に向かって歩き始める。
既に当たりは暗くなっていて
夕飯の時間なんてとっくに過ぎていた。
街灯が少年の小さな身体を照らす。
だが、街灯の光で映された影は
それよりも遥かに大きく
まるで少年の本来の姿を
映し出しているようだった。
事件が解決してから
少年は、彼女のことで考え込んでいた。
黒の組織に所属していた彼女に
自分の正体が知られてしまったと
疑っているからだ。
少年は彼女のことを何も知らない。
だから完全には彼女を信用していなかった。
それでも彼女に灰原を会わせたのは
沖矢昴が、彼女が組織を裏切ったと
断言しているからだ。
そして、それを証明するのは
彼の元に届いた彼女の母親、
ギムレットからの手紙。
手紙には、自身が赤井秀一同様に
組織に潜入していた諜報員であること
そして、彼女を組織から遠ざけるために
わざと自分が裏切者だと情報を流し、
死を偽装したことが記されていた。
だが、ただの大学院生として暮らしている彼に
この手紙を送るということは
沖矢昴が組織と関わりがあることを
知っていると言っているようなものだ。
それに、送り主の名前。
封筒に書かれた“レリック・ノーテス”は
『The Long Goodbye』に登場する、
テリー・レノックスを入れ替えたものだった。
しかし、それだけの情報では
送り主が彼女の母親であることに
辿り着けなかっただろう。
娘である彼女にだけ分かるように
敢えて、その名前を使ったと考えられる。
つまり、彼女の母親はこの手紙を送ることで
娘への疑いを晴らし、
自分が生きていることを娘に伝えた。
そして、宛名を沖矢昴にすることで
自分が少年たちと同じ立場にあり、
少年たちの置かれた状況を
把握していると、暗黙に伝えたのだ。
彼女の母親の真意は分からないが
彼女が協力者になってくれるということだろうか。
もしそうなれば、どんなに心強いだろう。
*
Aさんは自室にいると言われ
彼女の部屋を訪れる。
扉を開けると
電気がついておらず、真っ暗だった。
今は部屋にいないのかと思っていると
黒い影が動いたように見えた。
「Aさん……?」
顔がハッキリ見えなくて声をかける。
すると、鼻にかかるような声で
その人物は笑った。
「まさか、彼女と約束してた相手が
あなただったとはね」
「ベルモット……!」
まさかっ、
Aさんを始末するために……!?
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神楽(プロフ) - 舞さん» ありがとうございます!少しずつになりますが、頑張って更新します(*'▽'*) (2021年7月15日 1時) (レス) id: 526cb756dd (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください^o^ (2021年7月14日 7時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - マナさん» こんばんは! (2021年7月10日 20時) (レス) id: 526cb756dd (このIDを非表示/違反報告)
マナ - こんばんは… (2021年7月10日 18時) (レス) id: 55773c0381 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神楽 | 作成日時:2021年6月5日 22時