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私は彼女の言う通りにして
フードを被って目を閉じる。


視覚の代わりに聴覚に意識が集中して

全開の窓から入ってくる風の音、
車が走行する音が
さっきよりも大きく聞こえる。



その直後、前方から大きな衝撃音が聞こえた。


思わず目を開けてしまい
何が起きたのかと、音の方を見ると

さっき追い越してった白い車と
青い車が衝突していた。


犯人らしき女性が
工藤くんに銃を突き付けながら
車から出てくる。


その瞬間
組織の人間の気配がしたと同時に

何か空気が抜けたような
微かな音が隣から聞こえ

その直後に
犯人の構えている銃器が飛ばされ
犯人がバイクで吹っ飛ばされた。


一瞬の出来事で
何が起きたのか理解が追いつかない。


視線を移すと
彼女はアシストグリップを掴んで
全開の窓に腰掛けるようにして
車から身を乗り出していた。



彼女が座席に腰を下ろす時
彼女との約束を思い出して
咄嗟に、目を閉じる。



「哀ちゃん、終わったよ。
もう大丈夫だから」



その声に目を開けると、
私の不安を包み込むように
笑顔を浮かべる彼女がいた。

後ろを振り返って
ガラス越しに
工藤くんの無事を確認する。


大事に至らなくてよかった。

彼の無事に安堵した。


けれど、彼女の笑顔を思い出して

彼女との約束を破り
目を開けてしまった罪悪感を感じて
なんだか複雑な心情に陥った。









事件が解決して
博士の家に帰ってきた。


時間が経って冷えた夕飯を
百鬼さんが温め直してくれて

私と博士、百鬼さん、沖矢さんで
テーブルを囲んで食べた。


その時食べたビーフシチューは
調味料を加えたわけじゃないのに
味見した時よりも美味しかった。



「はぁ〜、美味かったのぉ」



大皿いっぱいのご飯を平らげた博士は
満足そうにお腹を叩きながら
その重たい身体をソファに沈める。


相変わらず呑気なんだから。

一方で、百鬼さんと沖矢さんは
片付けをしようと台所に立つ。



「昴さんもゆっくりしててください。
このくらいすぐに終わりますから」



そう言って一人で黙々を片付け始めるが
捲っていた袖が落ちてきて邪魔そうにしている。

あの時とは打って変わって
なんだか放っておけない。



「手伝うわ」



そう言った私を

豆鉄砲でも喰らったような
驚いた顔で見る百鬼さん。


……作ってもらっておいて
何もしない礼儀知らずじゃないわよ、私。



「ありがとう、助かるわ」

「その代わりまた作ってね」

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設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 沖矢昴   
作品ジャンル:アニメ
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神楽(プロフ) - 舞さん» ありがとうございます!少しずつになりますが、頑張って更新します(*'▽'*) (2021年7月15日 1時) (レス) id: 526cb756dd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新頑張ってください^o^ (2021年7月14日 7時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - マナさん» こんばんは! (2021年7月10日 20時) (レス) id: 526cb756dd (このIDを非表示/違反報告)
マナ - こんばんは… (2021年7月10日 18時) (レス) id: 55773c0381 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神楽 | 作成日時:2021年6月5日 22時

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