【名探偵コナン】裏切者はアイツのお気に入り

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結局、聞きたいことは
教えてくれなさそうなことばかり。



「昴さんは何を知りたいんですか？」



聞きたいことがある、ということは
私しか知らない情報があるってことだから

昴さんが何の情報を欲しいのか分かれば
それが手がかりになる。



「なぜ彼女に正体を隠したのか
不思議に思ったんですよ。

それに、声を変えられるとは
驚きました」



何を聞かれるのか身構えていたから
想定外の内容に唖然してしまう。


そういえば
声を変えられるって
話してなかったんだった。



「隠してた訳じゃないんです。

……ただ、彼女に私の存在が
気付かれるわけにはいかないんです」



彼女に会わせる顔がないから……。

明美の親友なのに
彼女を守れなかったから。


だから、
組織から彼女を守り抜きたい。


それが明美を守れなかった
償いになるとは思っていないけど

明美が守ろうとしたものを
彼女に代わって、守りたいと思った。



「しかし、彼女に
“百鬼A”と名乗っていましたが
それは問題ないのですか？」

「シルビア……。
それが私のコードネームです。

組織では、母方の姓を名乗っていたので
組織の人間は誰も知りません」

「では、“百鬼”は
父方の姓なのですね」



そこでハッと気付く。


今、誘導された？

昴さんが聞きたかったことって
もしかして、
私の両親のこと……？


だとしても
昴さんの知りたい情報が
手がかりになると思ったのに

点と点が結びつかなくて
余計に混乱するだけだった。



「それで、Aさんは
何を知りたいんですか？」



でも、やっぱり
一番気になるのはあの手紙。

今ある情報で何も掴めないなら
別の角度で考えるしかない。


……仮にも、あの手紙が
本当に私の疑いを晴らしたのなら
組織の人間で誰がそんなことをする？


ベルモットは私に親切だったけど
こんなことをする人じゃない。

そもそも
私の居場所すら知らない。



ーーーーん？
私の居場所を知ってる人……？


それは一人しかいない。

組織を抜け出した時
私がここに行くように
手引きした唯一の人物。


銃で撃った景色が脳裏に蘇る。

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