【名探偵コナン】裏切者はアイツのお気に入り (ページ14)

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手紙が受け取ってから
昴さんの様子が少し変だ。

手紙を読み始めてから
ずっと難しい表情を浮かべていて

お皿に載ったサンドイッチは
欠けたまま放置されている。

でも、昴さんはプライベートを
話さないから

何が書かれているのか聞くに聞けない。

代わりに、コーヒーを淹れて
朝食が進まない彼の元に運ぶ。

「まるで暗号でも解いているような顔ですね」

「当たらずとも遠からず、と
言っておきましょう」

そう言って、スッと手紙を
内ポケットにしまった。

私が知る必要はない、ってことか……。

彼が私に話す気がないのだと思うと
胸のどこかがチクっと痛んだ。

「それより、右腕の調子はどうですか？」

「痛みはだいぶ引きました。

新出先生からはまだ安静に、と
言われてますが」

元々左利きだったから
生活するのに不自由なことはない。

ただ、心配なのは怪我が治った時
右利きに切り替えて違和感があるかどうか。

一度身体が覚えたことは
慣らせばまた思い出すというけど

自転車みたいに上手くなっているか
怪しいところだ。

「今晩、阿笠博士たちに
夕食を振る舞おうと思っているのですが

Aさんは挨拶がまだでしたよね？」

「本来ならすぐにでも
挨拶に行かなければいけないと思うんですが

何しろ追われる身なので……」

できるだけ関わらない方がいいと思った。

私と関わったせいで
その人たちが危険な目に遭う気がして。

「組織がAさんの裏切りに
気付いているとは言えませんよ」

なんで？
現に、百貨店でジンを見かけたじゃない。

納得がいかない私の頭に
昴さんはポンッと大きな手を乗せる。

子ども扱いされてるみたいで
ムッとなる。

「試していたんですよ。

FBIである赤井秀一の死を
確認するために」

「じゃあ、やっぱり彼は……」

赤井秀一本人ではなく、
組織の人間が変装した姿だったんだ。

変装となれば
ベルモットを連想するけど
彼女が愛用する香水の香りはしなかった。

つまり、別人を変装させたってことだ。

組織の連中がなぜあの場にいたのか
ハッキリして、少し安堵する。

私の裏切りがバレていたとしても
居場所が捕まっている可能性が低い。

「木を隠すなら森の中。

今は周囲に溶け込むことが
大切だと思いますよ」