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お母さんと会った最後の夜を繰り返し夢に見る。

もう見たくない。


すると、ふわっと煙草の香りがした。



目を開けると、
視界に映ったのは昴さんだった。



「おかえりなさい」

「起こしてしまってすみません。
留守の間、大丈夫でしたか?」



コクンと小さく頷く。

まだ酔いが残っているのか
寝起きだからか、頭がぼんやりする。



「大丈夫ですか?

思い悩むことがあるなら
私でよければ聞きますよ」



お酒のせいかな。

昴さんがいつもより優しく見えるのは。

……もしかしたら、
あの夢のせいもあるかもしれない。


一層のこと、全部話せたら
楽になれるのに、と思ってしまう。



「……別れが恋しいだけです」



私が背負わなければいけない罪で、
これはきっとその罰なんだから。


思い出すと目が冴えてしまった。



「目が覚めたので飲み直してきます」

「でしたら私も付き合いますよ。

またリビングで寝てしまっては
身体に障ります」









グラスにウイスキーと紅茶を注いで
マドラーで混ぜる。

お酒に弱い私は、普段これで味と香りを楽しむ。



「レフティなんですね」



その姿を見ていた昴さんが
不思議そうに言う。



「ライティの方が圧倒的に多いので
矯正するよう言われたんです」

「その方はあなたを
守ろうとしたんでしょうね」



そう……。

私を守ろうとした実の母を
私は、何も知らずにこの手で殺した。



「……何も聞かないんですね。
私が組織で何をしていたのか」



恐らく、昴さんは
FBIかCIAに所属している。

そして、私をここに留めたのは
組織の情報を聞き出すためだろう。


そう考えると
未だに問い詰められないのが不思議だった。



「そんな無粋な真似はできませんよ」



そう言って、流れているはずのない涙を
拭うように私の頬に触れる。


その言葉で、昴さんは
私が打ち明けるのを待っているのだと知り

その瞬間、ずっと
押し殺していた涙が溢れ出た。



「やめてくださいっ……」



優しくしないで。

優しくされたら好きになってしまう。


私の裏切りがバレたら
ここを離れないといけないのに。

好きな人を傷つけることに
なるかもしれないのに。


無知で貧弱な自分が悔しくて
彼の服をギュッと握りしめる。

そんな私を慰めるように
昴さんは何も言わずに抱きしめた。

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設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 沖矢昴   
作品ジャンル:アニメ
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神楽(プロフ) - 舞さん» ありがとうございます!少しずつになりますが、頑張って更新します(*'▽'*) (2021年7月15日 1時) (レス) id: 526cb756dd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新頑張ってください^o^ (2021年7月14日 7時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - マナさん» こんばんは! (2021年7月10日 20時) (レス) id: 526cb756dd (このIDを非表示/違反報告)
マナ - こんばんは… (2021年7月10日 18時) (レス) id: 55773c0381 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神楽 | 作成日時:2021年6月5日 22時

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