パパが治してあげようね *ARS* 9 (ページ20)

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斗真先生の診察　8　(結心) ページ20

斗真Side

やばい!! と思ったときにとっさに出した容器。
すぐに手が届くところに置いてあってよかった。

ゆいちゃんは吐いたせいで余計にグズグズになっちゃったけど
泣き声は小さくなってきたし呼吸も落ち着いてきたからもう大丈夫そう。

和「ごめんね、斗真。
ちょっと手にかかっちゃったでしょ。
服は汚れてない?」

斗「ん? …大丈夫そう…かな。うん、大丈夫。
服にはついてない。和も平気?」

和「俺は平気。すぐに膿盆出してくれて助かったよ。
運動神経いいもんね。瞬発力、さすが(笑)」

胸にコアラのようにくっ付くゆいちゃんの背中を
トントンしながらニヤリと笑ってくる和。

それさぁ、絶対バカにしてるでしょ。

俺、どちらかと言えばスポーツ苦手な方だし
大学時代に草野球したときはいつも和に三振取られてたし。

和は投げれて打てて
俺なんかよりもよっぽど運動神経よかったじゃんか。

斗「和、俺で遊ぶのはやめて(笑)」

和「ふふっ。ごめんね。
こうやって話すのも久しぶりだったから、ちょっと嬉しくて。
最近忙しくてちゃんと話せてなかったから。
また今度さ、うちに来てよ。近々招待状送るから」

斗「招待状って、ただのメールでしょ?
しかも日時が書いてるだけの」

和「えへっ、バレた?」

舌をペロッと出して笑っている和は、昔とまったく変わらない。

無防備にこんな可愛い顔見せるから
次から次へと女子が寄ってくるんだよ。

和を狙っていた女の子、俺はたくさん知ってる。

当の本人は、そんなことまったく気にしてなかったけど。

俺がガードしてやってたのも
気付いてなかったんだろうな(笑)

和「さてと、ゆいちゃんも落ち着いてきたし
そろそろ仕事に戻ろうか。
ありがとね、斗真。休み時間つぶしちゃってごめん」

斗「いいのいいの。
俺もゆいちゃんに会えて嬉しかったしさ。
薬出しとくから、帰るときに受け取って。
鼻水、あんまり溜めないようにね」

和「はい。うまくかませるようにするよ。
じゃあ帰る前にうちの癒しの姫、ちょっと貸してあげる」

またニヤって笑った和に渡されたゆいちゃん。

俺が抱いたら泣かれるんじゃないかと思ったけど
予想外にぎゅっと抱きついてきてくれた。

和「斗真くん大好きだもんね。ありがと、は?」

耳元で小さく聞こえた声。

「…りがと」って。
「とーまくん…すき」って。

好き、も和が言わせたんだけどさ。

それでもすげぇ嬉しい。
なんだか胸がキュンとしたよ(笑)