長男の涙 1 (智) *リク ページ1
智Side
僕は、疲れたときには家族の顔を見る。
家に帰って、一緒にご飯を食べて、
テレビ見ながら会話して笑って…
そうやってると、不思議と疲れが抜けていくんだ。
なんでだろうね…
魔法みたいだよね。
無条件で愛せる存在って、
心の癒しだし、元気の源だし、
この子たちのためなら何だってできるって思う。
なのに僕は…どうして……
翔「なんで…智にぃ……なんでなんだよ…」
大事な家族に、
こんなに苦しい顔をさせているんだろう……
翔「俺が…頼りないから…?
俺なんかに頼っちゃいけないって思ったから?」
違う。それは絶対に違う。
翔のことはすごく頼りにしてる。
次男として、
僕と一緒に、家族を支え続けてくれてるから…
翔「…じゃあどうして?
智にぃ言ってたじゃん。
家族は助け合って当たり前だって。
それは、俺を安心させるための思いつきだったの?
さっきの言葉も嘘?」
嘘じゃない。
……けど。
翔を裏切るようなことをしたのは僕だ。
そんなやつを信じてもらえなくても仕方ない。
でも、本当の思いはちゃんと、伝えたいから…
智「ごめん…翔……
翔のこと、頼ってないわけじゃないんだ…
信頼してるんだよ?
僕がいない間、
家のこといろいろとやってくれたんだってね。
ほんとに、感謝して…」
翔「じゃあどうして言ってくれなかったの?
俺らを避けるようなことをしたの?」
なんでこんなことしたのか、
自分でもよくわからない。
普段は帰りたくてしょうがないこの家を、
なぜ避けていたのかわからない。
僕が、弱かったからかな…
こんな方法しか取ることができなかった…
家族に心配をかけないようにって思ってたくせに、
結局何の解決策も見いだせずにこの結果。
こんなんじゃ、
翔に偉そうなことを言えたもんじゃない。
智「しょ、しょお……」
翔「ねぇ……なんで?
どうして、自分一人でっ……」
智「………。」
声を詰まらせてうつむく翔に、
僕は次の言葉がどうしても出せなかった。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年6月29日 14時
