末っ子のまーくん 11 (雅) ページ49
翔Side
翔「ただいまー!!」
できるだけ早く帰ろう。
そう思っていたけど
結局家に着いたのは夜の9時を過ぎたころだった。
リビングにいるAとゆいちゃんに
帰ってきたよって伝えて、
素早く手洗いだけすませ雅紀の部屋に向かう。
ドアを開ける前から聞こえてきた3人の声。
翔「ただいま。またまた苦戦中のようだね」
横向きで身体を押さえられている雅紀と
抵抗する兄貴を必死でなだめている弟2人。
体勢からして、坐薬でも入れようとしているんだろう。
「やだ〜やだ〜」って言う雅紀に
「すぐおわるんだよ? 痛くないんだよ?」って説得する2人が、
なんだかすごくお兄ちゃんに見える。
こんなときくらいは弟になったっていいよな、雅紀。
お兄ちゃんたちにたくさん優しくしてもらいなさい。
和「ちょっと翔にぃ。
そんなところでニヤニヤしてないでさ、こっちきてよ。
何のために帰ってきたの」
何のためにって……可愛い弟に会うためですけど。
なんて、そんなこと今この場で言ったら
本気で怒られるだろうから、黙ってようか(笑)
翔「よしよし。
雅紀くん、翔にいちゃんが帰ってきましたよ〜」
潤「何キャラだよ〜」
和「ふざけてるひまないよ、翔にぃ」
なんか3人のやりとりが微笑ましくて
そのままのテンションで話しかけたら、
顔のニヤつきが抑えられなかった。
別にふざけてるわけじゃないって。
俺はただ、素直に気持ちを出しただけ(笑)
翔「ほら、雅紀。俺のこと見てみ?
おーい。まさき〜?」
目をぎゅっとつぶっている雅紀の頬を
軽く指の腹でぽんぽんしてやると、
ようやく潤んだ目が俺をとらえた。
「しょうにぃ?」って不思議そうに見つめてくる雅紀は
今まで俺がいることに気付いていなかったようだ。
翔「ただいま。ちょっと遅くなっちゃった」
雅「ん……まって…た…」
翔「俺も。やっと会えたよ〜、雅紀」
いつもはしっかりしている弟でも
こんなときに見るとすごくかわいく見える。
なんつーか…すごく歳の離れている弟って感じ。
俺が笑えば手を伸ばしながら微笑んでくれて
こいつはいくつになっても俺の弟なんだなって思う。
同時に、いくつになっても
こうして俺の弟でいてくれって思う。
癒しなんだよな、昔と変わらない笑顔を見せてくれるのが。
どんなに苦労かけられても嬉しい。
そう思う俺は、おかしいのか? (笑)
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年6月29日 14時
