絶対安静 9 (和) ページ9
雅紀Side
智「かず、管入れちゃうからね。
ちょっと頑張ってね。」
和「ん?・・・っ!! ・・んっ、んっ」
寝ぼけていた和は
智にぃがカテーテルを手にしてスタンバイしていたのに、
気付いていなかったみたい。
智にぃの言葉に視線を下に移して、
もうかなり処置が進んでいることに驚いたのか、
とたんに目に涙を溜めていく。
反射的に逃げようとして身体を動かしたけど、
転落したときの傷が痛んだのか、
声をもらして固まってしまった。
和「んー・・・んーんー!!」
怖くて暴れたくても身体が動かせない和は、
唯一動かせる首を振って、嫌だと訴えてくる。
智「すぐ終わるからね〜
ちょっと我慢して?」
和「やっ・・やだっ、にぃ!! こわいっ」
雅「大丈夫、大丈夫。
手握ってるから。ね?」
ぎゅっと握った手が小刻みに震えていて、
和の恐怖が伝わってくる。
自ら決めたこととはいえ、
いざやるとなると、怖くなってしまったんだろうね。
和はボロボロ泣いてるけど、
智にぃと翔にぃは
早く終わりにしてやった方がいいと判断したのか、
いくよってひと声かけてから
スーッとカテーテルを入れ始めた。
麻酔入りのゼリーを使ってるみたいだけど、
それでもやっぱり痛みはでるようで・・・
和「いっ!! あぁっ!! んっ、んー!!」
智「かず〜、力抜いてごらん?」
翔「息吐いてみ? お腹の力抜いて〜」
力を抜かなきゃいけないのはわかるけど、
でも、痛いときにリラックスするなんて無理だよ。
和の手にも力が入りっぱなし。
俺の手を痛いくらいに握りしめてくる。
雅「もうちょっとだって。
ほら、兄ちゃんが頑張ってくれてるよ〜」
和「いたっ!! あっ、あぁ!!」
暴れてる和を押さえている方が、
まだましかもしれない。
暴れたくても暴れられない
和の涙を見ているほうが辛いよ。
翔「かず。もう全部入ったよ。
智にぃはすごいね〜。早かったなぁ。」
智「和が頑張ったからだよねぇ。
あとは風船膨らまして固定したらおしまいだからね。
もう痛くないから。
深呼吸して楽にしてごらん?」
早く終わってほしいなって思ってたら、
本当にすぐに終わって驚いた。
正直、もっと時間のかかるものだと思ってたから。
智「よ〜し、おしま〜い。
頑張りました。」
それから和の服がもとに戻されるまでもあっという間。
あの2人が本気だすと、本当に早いよね。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年5月17日 17時
