絶対安静 8 (和) ページ8
雅紀Side
翔「じゃあ、足の亀裂骨折と、
腰の打撲だけなんだね?」
智「うん。大きな怪我はそのくらいかな。
頭に問題はなかったし、
腰も骨には異常なかったから。」
翔「ん、そっか・・・よかった。」
安心したように息をはきだした翔にぃは、
眠っている和の布団をそっとはいで、身体の傷をみだした。
痛かったなぁ…って頭を撫でて、
腕や脚にできた痣を指でそっとなぞっている。
翔「ここは痛いって言ってないの?」
智「うん。そこまで気が回らないのかもね。
他に痛いところがありすぎて。」
翔「それもそうか・・・可哀想に。」
俺も和の身体をしっかり見てなかったから、
こんなにも痣だらけだとは知らなかった。
こんなになるほど、
派手に落ちたってことだもんね。
そりゃ動けなくなるくらい、痛いわけだよ。
智「しばらくは安静にさせるからさ、
バルーン入れてあげようと思うんだ。
和がね、翔に手伝ってほしいって。」
翔「うん。わかった。
和もそれでいいって言ってるんだね?」
智「うん。
こういうのを、看護師さんに頼るのは嫌みたい。
入院中は、僕が管理するから。」
翔「その方が和も楽かもね。
それじゃあ、もうやっちゃおうか。
俺は補助付けばいいの?」
智「うん。お願いします。」
2人の話はどんどん進んでいって、
あっという間に準備が整った。
さすが、やるとなったら早い。
ガウン状の病衣の前を開けて、
消毒も済ませ、後は入れるだけ。
出来るだけ和が怖がる時間を
少なくしてあげようってことになったみたい。
智「雅紀、和の肩たたいてあげてくれる?」
手袋をしていて和に触れられない智にぃと翔にぃに代わって、
俺が肩をたたいて和を起こしてやる。
熟睡していたのか和はなかなか起きなくて、
耳元で大きく名前を呼んで、やっと細く目を開けてくれた。
智「かず? 翔にぃ来てくれたよ?
見える?」
和「・・・・・ん」
翔「かず〜? 大丈夫か〜?」
和「ん・・・・・」
翔「検査、頑張ったんだってなぁ。
すごいじゃん。」
和「・・・ふふっ・・」
翔にぃがニコって笑いかけたら、
和もわずかにだけど微笑んでくれた。
このリラックスした状態のまま処置が終わればいいけど、
そんなわけにはいかないんだろうなぁ・・・
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年5月17日 17時
