パパが治してあげようね *ARS* 6 (ページ40)

今日:14 hit、昨日:14 hit、合計:903,113 hit

えまーじぇんしー　4 ページ40

潤Side

明らかに調子の悪そうな智にぃ。

いつもの白く透きとおった目は充血していて、
うるうると水分が増している。

俺のことを触る手もいつもよりポカポカしているし、
確実に熱は上がっていると思う。

潤「へーきじゃないよね…さとに……」

智「ん? 大丈夫だって。
心配してくれてありがとう。
ほら、口開けて? 喉診るよ?」

きっと、今智にぃに何を言っても、
折れてはくれない。

今すぐにでも休んでほしいけど、
俺らのことを放っておいて
布団に入ることはしないだろう。

限界を迎えるまで、俺らの看病をしようとするはず。

智にぃは、そういう人だ。

智「どした? 口開けてごらん?」

この人数を智にぃ一人で看てたら、
確実にぶっ倒れる。

そんなのわかってるのに、
どうすることもできない自分が悔しくて…

でも、こんなふうに俺が悩んでいる間も、
智にぃは笑顔で待ってくれているわけで。

これ以上迷惑かけらんねぇなって、
目をつぶって大きく口を開けた。

智「はい、ありがとう。
もう少し上向けるかな? …うん、そうそう。」

弱っているからなのか
涙腺もゆるんでいるようで、

悔しいって思いと、申し訳ないって思いが混ざって、
鼻から目の奥にかけてじわっと熱くなる。

口を開けていたせいか、
我慢した声が喉の奥でヒュッて、変な音を鳴らした。

智「はい、いいよ。
ごめんね、疲れたでしょ。
ご飯できるまで寝ておこうか。」

潤「で、でも……」

智「僕ももう少ししたら休むから。
潤は少しでも早くよくなるように、しっかり寝ること。
いい?」

額に手を当て、目を見つめられながら言われて、
俺はコクンと頷くことしかできなかった。

俺がよくなれば、その分智にぃの負担は減る。

もしこれ以上悪化させるようなことがあれば、
そっちの方が、智にぃに迷惑をかけることになるもんな…

智「じゅん? 目、閉じてごらん?
ゆっくり深呼吸して。
……そう。
ほら…眠くなってきたね…」

できるだけ早く復活しなきゃ。
でもやっぱり、智にぃが心配だ…

そんなことを考えると
素直に眠っていいものか迷ったけど、

智にぃの声と手の動きに誘導されるように、
徐々に瞼が重くなっていった。

智「…おやすみ。」

その声と同時に、
そばにあった温もりがいなくなる。

あっ…いかないで…、って思った瞬間、
ポンポンって温かい手が頬に触れて、
吸い取られるように、俺の意識はスーッと遠のいていった。