えまーじぇんしー 3 ページ39
智Side
いっぺんに寝込んでしまったときは、
どう対処すればいいんだろう…
一人看病するのだって大変なのに、今は6人。
僕が元気ならまだよかったものの、
残念なことに37度ちょっと熱がある。
それでも7人の中では一番動けるから、
これ以上悪化しないうちに
やることはやっておかなければ。
とりあえず、帰ってきてから
寝かせっぱなしの雅紀と潤を診てやって、
ゆいちゃん汗かいてたから着替えさせてあげて…
あ、あと夕飯もまだだったか…
おかゆでも作って、そのあと薬飲ませないと…
あとは………あぁ、ダメだ。
もういろいろ考えるのはやめよう。
頭が混乱しそう。
一つ一つこなしていく方がいいかな。
智「雅紀、お腹大丈夫?
少し触りたいから、仰向けになってくれる?」
雅「んっ……」
智「うん?」
雅「……お、おれは…いい……
……じゅん…だけ……」
智「そう?(笑)
じゃあ先に潤を診てくるね。
ちょっと待ってて?」
僕に布団をはがされないように、
布団の端をぎゅっと握っている雅紀。
その手をポンポンして、潤のところに移動した。
診られるのは嫌だって素振りをみせるくせに、
離れるとなると、途端に寂しそうな顔するの。
どっちなんだよって思うけど、
診られたくないほど、体調が悪いってこと。
そばにいてほしいって思うほど、
身体は弱ってるってこと。
かわいそうに……相当つらいんだろうね。
本当はつきっきりで看病してやりたいところだけど、
今日は僕も余裕がないから…
ごめんよ、雅紀。
智「はい、あーんってして?」
潤「ん……ねぇ……」
智「ん? どうした?」
寝ている子もいるから
起こさないように静かに潤の診察をしていたら、
ペンライトをかまえる僕をじっと見ていた潤が、
急に泣きそうな顔になった。
喉診るだけなのに怖くなったのかなと思っていたら、
どうやら別の理由のようで…
潤「さとに…目、赤い……
熱が……」
布団の中からゆっくり伸びてきた手が僕の首に当てられて、
思わず逃げるように身体を引いてしまった。
せっかく潤が心配してくれたのに、
俺らだけ寝ててごめんなさいって顔で
目を潤ませてるのに、
平気だよってバレバレな嘘しかつけない。
僕さ、熱が上がったのを自覚するのが怖いんだ。
そうなったら、
一気に体調不良の波にのみ込まれるだろうから。
だから今は、
潤の優しさも、笑顔で流すしかなかった。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年5月17日 17時
