えまーじぇんしー 2 ページ38
智Side
なぜ、こうなったのだろうか…
リビングがこんな状態になったのは初めてだ。
和「うぅっ……げほげほっ……」
智「どうした、和。トイレ?」
和「んーん。ちょっとタオルほしくて…」
智「じゃあ僕が持ってくるから。
和は寝てて?」
和「でも…智にぃこそ、熱あるのに…」
智「僕はいいから。ね? 寝てなさい?」
苦しそうに咳きこみながら
布団から起き上がろうとしている和がいるのは、
僕から見て右から2番目。
その隣、一番右端に寝ているのが潤。
和の左側には雅紀。
続いて翔、その隣は、
Aとゆいちゃんが同じ布団で寝ている。
今は空っぽの僕の布団まで合わせれば、
リビングの中央には
ずらっと6枚の布団が並べられていることになる。
少し離れたところから立って見渡せば、
僕の家族がそろいもそろって
布団にくるまれている光景は、かなり妙だ。
本当なら、笑い声が響いているこの部屋も、
今は布団がすれる音と、咳き込む声だけ。
空気もどことなく重苦しい。
雅「げほげほっ!! …っ…うっ!!」
智「おっと…大丈夫?
吐きそう?」
雅「んっ……ハァ…ハァ……だいじょ、ぶ…」
智「ん。じゃあちょっと横向いて待ってて?
すぐ診てあげるから。
潤? 起きてる?」
潤「ん…おきてる…」
智「寒くはない? 頭痛はどう?」
潤と雅紀の体調不良が判明したのは数時間前のこと。
仕事から帰ってくるなり
すぐに部屋にこもってしまったから、
心配して見に行ってみれば、見事に2人ともアウトだった。
翔「さとに、俺も…手伝うよ」
智「だーめ。
熱高いんだから。寝てなさいって。」
朝、当直明けで帰ってきた翔が赤い顔をしていて、
まさか翔までダウンするとは…と、
肩を落としていたけど、
今を思えば、あの時はまだましだった。
その時点でゆいちゃんを看病していた
Aまで具合が悪くなってたから
良い状況ではなかったけど、
僕もまだ熱はなかったし、雅紀と潤も元気だったしね。
もしかしたら、
元気そうに見せていただけだったのかもしれないけど。
家族が続々とダウンしていったから、
気を使わせちゃったかな…
良く見ていてあげていたら、
2人もここまで悪化しなかったかもしれない。
そんなことがあったから、今まともに動けるのは僕だけ。
さて、この状況、どう乗り越えようか…
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年5月17日 17時
