パパが治してあげようね *ARS* 6 (ページ34)

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足の怪我　10　(潤) ページ34

智Side

麻酔が終わってダランと力を抜いた潤は、
目の上に手を置いてハァハァと息をしている。

智「大丈夫? そのタオル、使っていいよ?」

ぬれた目をみられたくないのか、
顔を覗き込む僕から逃げるように顔を背ける潤。

そんな彼の強く握られた手を軽く叩くと、
くしゃくしゃになったタオルを、
目元にぎゅっと押し付けた。

翔「そろそろ、続きいいかな?」

ひっく、と息を吸い込むだけで
反応のない潤に代わって、僕がコクンと頷く。

今日の潤は痛いとも言わなかったし、
声出して泣くこともなかった。

一生懸命頑張ってくれたのは嬉しいけど、
でも終わった後まで強がる必要はないよね。

今だって、こんな情けないところを見るな、
とでもいうように身体にバリアはってるしさ。

そのくせ僕がちょっとなでなでしただけで、
強がりの殻は簡単に砕けちゃうんだから。

翔「なに。どしたの?」

智「いや、なんでもない(笑)」

怖がりで強がりっていうのは、翔と似てる。

2人のおかしな共通点につい笑ってしまった僕に、
翔は首をかしげながら不思議そうな顔をしていた。

智「潤? 翔にぃが続きやるって。
痛かったら教えてよ?」

ようやく身体の強張りがとけてきたところで
タオルを目に当てたままの顔を僕の方に向けてやると、

チラッと見えたうるうるの瞳が、
痛いの?って不安そうに揺れていた。

智「心配事かな?
翔にぃに聞いてみる?」

涙が溜まっていく目尻を親指でなぞってやりながら
処置を始めようとしていた翔を手招きして呼ぶと、
翔はすぐにベッドの横にしゃがんでくれた。

翔「どーしたの?……ん?」

みつめる潤の目が怯えているのに気付いたのか、
翔の目に優しさがこもってくる。

耳を傾けながら何度も頷いて
言葉を返してやっている翔に向かって、
途切れ途切れに細く声を出している潤。

素直に涙を流していることから、
今は上手に甘えられているのだろう。

そのほうがいい。
あんまり強がってたら疲れちゃうから。

翔「うん。それが心配だったの?
もう麻酔したんだから、痛みの方は大丈夫だよ。
もし痛かったらお薬足してやるから。
な? そんなに泣くなよ?」

翔に頬を撫でられて、
僕に頭の後ろをポンポンされて、
安心したように目を閉じた潤は、やっぱり甘えん坊だ(笑)

そして、そんな潤を見て嬉しそうに微笑んでいる翔も、
やっぱり甘えん坊たちのお兄ちゃんなんだなって、
そう思った。