パパが治してあげようね *ARS* 6 (ページ22)

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しょーちゃん、行っちゃダメ!!　10　(結) ページ22

和也Side

辺りが暗くなった頃、
ちょうど同じ時間に仕事が終わった智にぃと俺は、
一緒に家に向かっていた。

和「じゃあ、あの時の番組、ゆいも見てたんだ。」

智「そうなんだろうねぇ。
まさか朝の大泣きが、夢のせいだとは思わなかったよ。」

休み時間に見た
智にぃからの一斉送信メールで知った。

泣いていた理由が、夢のせいだったって。

思わぬ理由に驚いたけど、
でも、ゆいちゃんが落ち着いたということを知って、安心もした。

智にぃがしっかり話をしてくれたみたい。

翔ちゃんはいなくならない。
これからもずっと一緒にいる、って。

メールに添付されたゆいちゃんの寝顔の写真、
朝の必死の顔と違って穏やかでね・・・

ようやく身体から力が抜けたんだ。

ゆいちゃんのあんな姿を見るのは初めてで、
なんだかちょっと怖かったから。

和「あのメール、着いたの9時過ぎてたけど、
時間大丈夫だったの?」

智「ん? うーん・・・アウトだねぇ(笑)
急いで検査室行ったら、もう患者さん入ってた。
ちょっと待たせちゃったかな・・・」

そう苦笑いした智にぃは、
ゆいちゃんと患者さんを天秤にかけるのって究極だよ、
ってふふっと笑った。

和「でもよかったね。
あのままだったら、
ゆいちゃんずっと不安定だったよ、たぶん。
そんなの、負担が大きすぎるもん。」

智「そうだよね・・・
こんなことになっちゃって、可哀想なことをしたよ。
翔には、きっちり責任とってもらわないとね(笑)」

もとはといえば、
ゆいちゃんがあんな夢を見てしまったのは、
翔にぃのせいだからね。

やめとけって言われてたのに、あんな番組見るから。

ヘタレのくせに～(笑)

智「あのライオンの映像、僕でも怖かったもん。
ゆいちゃんにとっては、とんでもない恐怖だったろうね。」

和「そりゃね、ライオンなんて、
絵本の中でしか見たことなかったんだから。」

大きなオスのライオンに、飼育員さんが襲われている・・・

そんなパニック映像ばかり集めた番組を、
ちょっと前に翔にぃが見てたんだ。

ゆいちゃんはおままごとして遊んでたから
見てないと思って安心してたんだけど、それが間違いだった。

映像では、その飼育員さんはちょっと怪我をしただけだったけど、
ゆいちゃんにそんなことわからないだろうから。

ただ、猛獣に襲われている恐怖だけが切り取られた。

そういうのって、
頭の中に、強烈に残っちゃうものなんだよね・・・