えまーじぇんしー 13 ページ49
潤Side
智にぃが倒れたって聞いて、やっぱりって思った。
“やっぱり…”
こうなることなんて、簡単に想像できたのに。
あのときちゃんと休んでもらっていたら、
智にぃが倒れることなんてなかった。
俺だけ寝ちゃって……
智にぃだって、俺と同じくらい辛かったはずなのに。
智にぃは誰のせいでもないって言ったけど
どうしても心のもやもやは晴れなくて、
俺は膝の上でぎゅっと拳を握りしめた。
智「ぼくさ……あたま、痛いんだ。
今、すごく眠い……
だから、今度は僕が休ませてもらうね?
ね、潤。ちゃんと休むから。
だから、その間のこと、みんなに任せてもいい?」
俺ら一人一人の目を見ながら、
智にぃがいった言葉。
それに迷わず頷いた俺らは、
あぁ…また智にぃに助けられたんだって、そう思った。
俺らに気を使わせないために、
“智にぃを看病する”っていう仕事を与えてくれた。
これでおあいこでしょ、って。
1人で6人を看ていた智にぃの負担を考えれば
こんなことじゃ足りないってわかってるけど、
でも、寝ずに俺らを看病してくれた智にぃに
少しでも恩返しができたら……
そう思って、俺は智にぃが少しでも楽になるなら
なんでもしようと決めた。
それはきっと、他のみんなもそうだと思う。
翔にぃは智にぃの診察をするために聴診器を手に取り、
和にぃも点滴の準備をはじめた。
ゆいを寝かせたAは、
智にぃの食べられそうなものを作りにキッチンへ。
まだ起きる元気がない雅にぃも、
横になりながら智にぃの汗をタオルで拭いてやっている。
智「みんなありがとね……
これなら、すぐに元気になれそうだ。」
目をつぶりながらそうつぶやいた智にぃに向かって、
俺もつぶやく。
潤「6人もいるんだから。
嫌でもすぐに元気になるって。」
智「ふふっ。
たのもしいなぁ。
……ねぇ潤、ぼく、喉乾いた。」
潤「うん。わかった。すぐ持ってくる。」
今日は普段では考えられないほど素直な智にぃ。
「着替えさせて」
「氷枕欲しい」
って頼みごとも、
「リンゴジュースがいい」
「ゼリーじゃなきゃ食べない」
ってわがままも、
智にぃのためなら、全部嬉しい。
智にぃは、わざと甘えてくれているのかもしれない。
それでも、役に立ててるって思いが、
心を軽くしてくれる。
グッスリと眠っている智にぃの寝顔をみつめている俺らは、
どこか満たされたような表情をしていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 479人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちさ
| 作成日時：2013年5月17日 17時
