パパが治してあげようね *ARS* 6 (ページ5)

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絶対安静　5　(和) ページ5

智Side

できるだけ痛みを与えないように・・・
怖がらせないように・・・

そう考えていた僕だけど、
すぐに大きな問題が明らかになってしまった。

智「ここ痛いの?
全然動けない?」

和「んっ・・・いたい・・・」

智「困ったなぁ・・・」

和が涙目で訴えてくる、腰の痛み。

少し動いただけでも激痛が走るらしく、
身体を起こすこともできない。

どうやら、思った以上に
腰にダメージを受けていたようだ。

智「足は痛くない?」

和「ん・・・ここ・・」

智「うん。ここね。痛いね。」

足よりも腰の痛みの方が強いらしい。

足と違って、
腰は完全に動きを抑えることはできないからね・・・

ベッドの上で人形のように
全く動かないでいろっていうのも、無理な話だ。

智「お薬入れてあげるけど、
しばらくは安静にしてなきゃだね。
ちょっと動くの我慢かな。」

痛みが落ち着くまでは安静にしていたほうがいい。

ただ、そうなると困ることが・・・

智「トイレさ・・・
看護師さんに手伝ってもらおうか。」

足もこんなだし、
一人でトイレまで行くことは不可能だ。

尿瓶を使うにも、身体を起こせないから、
自分でやるのは厳しいし。

そうなると、誰かの手を借りることになるけど、
さすがに僕も、
一日中和に付いててやるわけにはいかないから・・・

智「しょうがないんだよ?
怪我しちゃったんだから、
看護師さんにお手伝いしてもらおう?」

僕が何度そう言っても、
和はイヤイヤと首を振ってくるだけ。

そりゃ、嫌なのはわかるけど・・・

でも、こればっかりは、
生理現象だから止めてあげようがない。

智「それが嫌なら、おむつ着ける?
それなら全部僕がやってあげるよ。」

和「なんで・・・うぅっ・・・なんで?」

智「泣かないで、かず。
お熱上がっちゃう。」

可哀想なこと言ってるのはわかってる。

こんなの、和に決めさせるのも酷なことだよね。

智「みんな、和に早く元気になってほしいから。
だから、お手伝いしてくれるんだよ?
和が自分でできるようになるまで、
みんなが助けてくれるって。ね?」

和「やっ、だっ・・・やだよ・・うぅっ・・」

嫌だとは言っているけど、
逃げようがないことは和もわかってる。

だから、よけいに苦しいんだよね。

智「ほら・・泣かないの。」

僕は涙を流し続ける和に、
逃げ道を作ってやれなくてごめんねって、
ぬれた頬を拭ってやることしかできなかった。