足の怪我 2 (潤) ページ26
智Side
智「潤…足、どうした?」
潤「えっ? あぁ…これは…」
引きずっているように見えた右足を
覗き込むように確認してみると、
親指の先が赤くなっていた。
どうしたのか聞いてみれば、
ちょっと痛めたと苦笑い。
珍しく隠すつもりはないみたいだ。
智「痛そうだね…。
ちゃんと診てあげるからおいで?」
潤「え〜、いいよ〜。
これくらいほっときゃ治る。」
“これくらい”とか言っておきながら、
足引きずるほど痛いんでしょ?
それってけっこう心配なんだけどな、僕。
智「まぁまぁ、念のため診させてよ。
ほら、ここまで歩ける?」
ソファーの背をポンポン叩きながら手を差し出すと、
そんなに重症じゃないよって文句を言いながらも、
素直に手を握ってきた。
やっぱり歩き方おかしいな、
と思いながら握っていた手を背中にまわして、
身体を支えながらソファーに座らせた。
智「足上げられる?
…ん、じゃあここに乗せて?
どれどれ…」
目の前に片膝だけ床に付けて座ると、
立てていた方の脚の上に、潤の足を乗せた。
近くで見ると、
親指の爪の下が出血しているのがわかる。
智「ちょっと剥がれちゃってんじゃん。
これ、どうした?」
潤「水場で遊んでるときに…ちょっと…」
智「どっかにぶつけた?」
潤「ん……まぁ、そんな感じ。」
どうもはっきりしないね。
受傷機転ってけっこう大事だから、
ちゃんと知っておきたいんだけどな…
智「どこにぶつけたの?」
潤「ん……石みたいな?」
智「うん。どうやって?」
潤「まぁ…普通に…」
智「ん? 普通ってどんな感じ?
覚えてること、ちゃんと教えて?」
潤「ん………」
怪我したことを隠すことはあっても、
怪我をした理由を隠すなんて珍しい。
なにか都合が悪いことがあるのかな。
智「知っておかないといけないことだからさ。
どこにどうやってぶつけたかくらいは、
ちゃんと言ってほしいなぁ。」
潤「ん……じゃあ…怒んないで…ね?」
言いづらそうに、少しずつ口を開き始めた潤。
何か怒られるようなことをしたのか? と、
身構えながら聞いていると、
潤の口から出たのは意外な言葉だった。
潤「ゆいちゃん…とさ、けいくんが…ね?」
けいくんとは、
ゆいちゃんと同じ幼稚園のお友達だ。
けいくんが、同じ公園にいたってことなのかな?
で、それがどうやって潤の怪我につながるんだろう。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年5月17日 17時
