パパが治してあげようね *ARS* 6 (ページ3)

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絶対安静　3　(和) ページ3

智Side

智「かず、ここ痛い?」

和「んー、んーん!!」

智「本当に? 我慢しないでいいんだよ?」

身体を動かそうとした時、
和が声をもらしながら手を腰のところに動かしていた。

足を診ると同時に
全身を見ながら和の動きを観察してたから、
間違いないと思うんだ。

痛いところを隠そうとするのは、いつものことだから。
隠したっていいことないのに。

しかもこれは、不安定になっているときに、
いつも以上に顕著になる。

だから高熱を出した時なんかは、目が離せない。

ずっと隠してて気付いたら悪化してた、
なんてことになると可哀想だから。

で、今がその時。

だから和のちょっとした動きでも
見落とさないようにしてたんだ。

智「腰痛いんでしょ?
ぶつけちゃったかな?」

和「いたく、ない・・」

そんな泣きそうな顔しながら言われても、
説得力ないなぁ。

熱も上がってきてるみたいだし、
もうこれ以上時間はかけられない。

智「ごめんねぇ・・」

和「いっ!! あぁっ!!」

手を腰の下に入れて軽く押してみただけで、
この痛がりよう。

神経に問題はないだろうから、ただの打撲かな。
骨に異常がなければいいけど・・・

智「潤、雅紀は?」

潤「たぶん、寝てる・・」

そうだよね。
今ここにいないってことは寝てるよね。

智「じゃあ起こしてきて。
和、痛いところが多いからね、
病院行って検査してこようね。」

和「ちゅ・・しゃは?」

智「注射?
とりあえずは、レントゲンを撮るよ。」

和「やだ・・ここ、痛くないから・・」

智「え?」

腰は痛くない。
注射はしない。
翔にぃのところにはいかない。

そう訴えてくる和に、
なぜこんなに拒否するのかわかった気がした。

以前腰が痛くなったときは、
翔に腰に注射されちゃったからね。

それを恐れているのかな。

腰だって、足だって、
かなりの痛みがあるはずなのに、
ここまで粘る和は我慢強い・・・

って言っても、治療の痛みは
まったく我慢できないんだけどさ。

智「背中に注射したりしないよ?
翔にぃは、今はお仕事。
行くのは僕の病院だからね。
痛いのとってあげるから。」

イヤイヤ言ってても
体中に痛みがあるのは、そうとう不安なはず。

智「ここ、痛いもんね。
病院行くまで、もう少しだけ我慢しようね。」

優しく頭を撫でてやればボロボロと涙がこぼれてきて、
やっと痛いって本音が言えた和を、早く楽にしてやりたいと思った。