パパが治してあげようね *ARS* 4 (ページ27)

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歯医者さんは嫌われ者?　14　(ママ・結心) ページ27

智Side

潤「お薬塗ったから、痛くないからね。
大きくお口開けて?」

雅「ちょっとほっぺた引っ張るよ?」

潤「ん・・・いけるかな・・・」

雅「A、もう少し大きく開けてごらん?
そうそう。うまいなぁ。」

雅紀がうまく視野を広げてくれてるから、
潤も治療がしやすそうだ。

いいコンビだね。息もあってるし。

雅「ほーら、痛くないね。
潤先生、注射上手だったんだなぁ。
これでおしりぺんぺんは免れたんじゃない?(笑)」

潤「ふふっ。
痛くない注射の練習しといてよかったよ(笑)」

優しく微笑みながらAに麻酔を打っていく雅紀と潤。

Aの目の上にはタオルが置いてあるから2人の顔は見えてないはずなのに、
その笑顔に吸い取られるように、
Aの身体からは震えが消えていった。

まだ、力は抜けてないけど、
いつもよりはリラックスできてるかな。

潤「はい、おしまい。
すごいね、A。頑張った。」

雅「上手にできたね。
えらい、えらい。
タオルとっていい?」

「んっ・・・ん・・・」

潤「ど・・どうした?
涙出ちゃったね。
痛かったかな・・・」

「うっ・・・んーん・・・」

智「ん? ちょっと怖かった?」

「・・・んっ・・・うん」

雅「そっかそっか。
でもね、Aが頑張ってくれたおかげで、上手に麻酔ができたよ。
動かなかったもんね。頑張ったね。」

雅紀に涙を拭いてもらいながら、
唇を噛みしめて泣いているA。

ずっと泣かないように頑張ってたんだもんね。

麻酔なんて、昔なら大泣きだったわけだし。
それと比べれば、今回なんて頑張り過ぎなくらいだよ。

ゆいが泣かなかったって聞いたから、
ママも頑張らなくちゃって思ったんだろうね。

潤「一回深呼吸してみな?
いっぱい吸って、はぁ～って吐いて?」

数回の深呼吸で落ち着いたAは、
潤と雅紀の顔を見ながら、僕の手をぎゅっと握ってきた。

どうしたのかな・・・って思って声をかけようとしたら、
Aは目を閉じながら小さく口を開けてくれて・・・

怖いんだろうけど、嫌なんだろうけど、
それでも自分から口を開けてくれたAを見て、
僕も、雅紀も潤も、自然と笑顔になっていた。