パパが治してあげようね *ARS* 4 (ページ23)

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歯医者さんは嫌われ者?　10　(ママ・結心) ページ23

潤Side

ゆいが診察室に入っていき、
翔にぃも付き添いでついていった。

さっきまでニコニコしていた智にぃは、
今は隣に座るAの背中を、心配そうにさすっている。

智「深呼吸してみな?
大丈夫? 気持ち悪い?」

顔を青くしながら浅い呼吸を繰り返しているA。

久しぶりの歯医者さんに、かなり緊張しているようだ。

「ﾊｧ・・ﾊｧ・・・ごめんなさ・・・」

智「ふふっ。
怖がっちゃってごめんなさい?
泣いちゃってごめんなさい?
そんなこといったら、
歯医者さんの中はごめんなさいでいっぱいになっちゃうよ。」

目に涙をためるAの頭をそっと撫でた智にぃは、
立ち上がって俺を手招きすると、そのままAの目の前にしゃがませた。

智「みんな怖いんだよ。
でも、怖くても頑張れてるのは、先生のおかげ。

ここの歯医者さんは、優しいって評判なんだよ?
で、この人がその先生。

本当はねー、
もう一人の先生の方がバカみたいに優しくて子供にも人気なんだけど。

でもね、こっちの先生も優しさでは負けてないんだよ。
ほら、先生、ごあいさつ。」

潤「あっ、えーと・・・
・・・歯科医の嵐谷潤です。よろしくね。」

何を言ってるんだ・・・って思ったけど、
でもやっぱり智にぃはすげぇんだって再確認した。

Aが笑ってる。

さっきまで泣いてたのに、
差し出した俺の手を握りながら、ふふって微笑んでいた。

智「この先生なら、大丈夫。
Aの怖い気持ちも、楽にしてくれるんじゃない?」

俺の顔と智にぃの顔を交互に見たAは、
小さくコクンとうなづいた。

まだ不安そうな顔はしてるけど、
さっきみたいに吐きそうなほど青い顔はしていない。

これならなんとかいけるかも。

潤「じゃあAさん、行きますか?
今日の俺の最後の患者さん。
特別診療してあげましょう!!(笑)」

智「ははっ。よかったね～、A。
特別だってよ?」

潤「特別に、いつもより優しさ2割増しで(笑)」

智「2割なんてケチくさいこと言うなよ～
せめて5割だね。」

潤「あんま変わんないじゃん(笑)」

そんなわちゃわちゃやってる俺らの横で、
Aは口に手を添えながら、クスクス笑っていた。

その手をとって、ぎゅっと握る。

潤「俺はいつも優しいもんな?」

ふざけて聞く俺に、
Aはためらいもなく大きくうなづいてくれた。