パパが治してあげようね *ARS* 4 (ページ17)

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歯医者さんは嫌われ者?　4　(ママ・結心) ページ17

智Side

智「A?
雅にぃが待ってるよ?」

翔たちが気を利かせてリビングを出ていってくれたあと、

僕はソファーに座るAにあわせてしゃがみこみ、顔をのぞきこんだ。

口をグッとむすんで下を向いているAは、
今にも泣いてしまいそう。

智「お口開けるの、怖い?」

しばらく間を開けて、小さくうなづいたA。

ずいぶん素直だね(笑)

Aも昔から歯医者さんは苦手だしね。

逃げないでここにいるだけでもえらいよ。

智「今日はね、見るだけなんだってよ?
僕もさっきやってもらったけど、全然痛くなかったから。
ほら、ゆいもやってるよ。見てごらん?」

Aの様子を見た雅紀が先にゆいの検診を始めたみたいだけど、

驚くことに泣くことなく口を開けている。

検診は痛くないんだって、わかってくれたからだろうね。

雅「こらこら、噛んじゃダメでしょ～?
ほら、ゆいちゃん、和くんはカミカミしてたかな～?
潤くんは上手におっきくお口開けてたぞ～?」

智「ふふっ。
口の中にミラーが入ってるのが嫌なんだろうね(笑)
確かに、ちょっと気になっちゃうもんね。
・・・・・・ん?・・A?」

言うことを聞かないゆいちゃんに苦戦している雅紀を見て笑っていた僕は、
Aの方に目線を移して驚いた。

智「泣かないんだよ、A。
怖いのはわかったから。無理にはやらない。ね?」

てっきり僕と同じで笑ってるかと思ったら、
Aの目からは涙がこぼれていた。

そんなに検診が嫌なのかな・・・

まぁきっと、泣くほど不安な何かがあるんだろう。

この怯え方を見れば、だいたいの予想はつくけどね。

智「歯医者さん行くのって、勇気いるよね。
なかなか言えないんだよ。とっても怖いことだから。

頭ではわかってるのにね?
早くなんとかしなきゃって思うのにね?

大丈夫。Aの気持ちは、ちゃんとわかってるよ。」

Aの隣に座って肩を抱きながらつぶやく僕に、
Aは鼻をすすりながらも、何度もコクコクとうなづいていた。

智「ちゃんと話せば、雅紀はわかってくれる。
怒ったりしないよ。大丈夫だよ。」

再びコクッとうなづいて、また新たな涙をこぼしたA。

そんなAの背中を、僕はそっと擦り続けた。